夏休みの読書

 北川次郎氏(目黒考二氏)が今年1月にお亡くなりになった際に、氏の『笹塚日記』に倣って、読んだ本の題名(仕事関連はさておき)だけでもブログに書こうなどと殊勝な(?)ことを考えたのも束の間、個人史上、最も忙しい前半期を過ごし、それどころではなく、夏休みに突入。

 SNSもやっていると、なるほど、ブログをやっている暇がないなと実感しつつ、なんとなくこのまま終わるのもなあと思い、再開(となるのだろうか)してみます。

 

 本日、1週間の夏休みの最後の日。

 某所に滞在して、読書三昧+散歩三昧。

 1日に2~3冊読んでいた北上さんというか、目黒さんのひそみに倣うぞと思うも、ただ本を読んでいるだけともいかず、6冊持ってきた本のうち、完読したのは結局3冊。

 

557頁の『太平洋食堂』。

633頁の『地図と拳』

490頁の『熱源』   の3冊。

 

 

 

 

 

どれも大変、読み応えがあり、また日本近代史について考える材料を与えてくれた本でした。

『太平洋食堂』で大石誠之助に大いに関心を抱き、来年、絶対に新宮に行こう!と決意。(この夏に1年ぶりに会った友人が新宮に行ってきたということで、熱く新宮と大石について語られたということもあり、これは行かねば!という気になりました。)

 

最近、満洲国についてもっとちゃんと分かりたいと思って関連本を読んでいて、その流れで『地図と拳』を読みましたが、なるほど、直木賞獲るだけはある、と納得の筆力でした。私は細川さんが好きだな。

 

そして、『熱源』。

出てくる主要な登場人物一人一人が魅力的で生き生きしていて、同じ直木賞受賞作でも、私はこっちの方がより好きだな。

川越宗一さんの本は既に『パシヨン』も読んでいて、この作家は注目だ!と改めて思った次第。川越さんの『天地に燦たり』も読まねばと心に刻みました。

 

で、今読んでいるのが『満洲国グランドホテル』565頁。

大体、半分読みましたが、さきの小説3冊と違い、こちらはノンフィクションというか、みっしりと史実が詰まっている本なので、読むスピードがどうしても落ちます。(参考文献が示されると、つい入手できるかと調べちゃったりしてますし)。

 

 

あと、8割がた読み終わっているのが、懐かしの目黒さんの『笹塚日記 親子丼篇』。

少し読み始めているのが、『バチカン大使日記』。

 

 

 

という状況で、もう休みも終わりだなあ。しみじみ。

ああ、またあの忙しい日々に突入するのか、とちょっと遠い目をするはるるであった。

 

 

 

 

ボビーの命日

本日、入管法案が強制採決されてしまうかも、と言われていましたが、何とか回避。

ボビーの命日に、あのような法案が通るなんて許せん!と思って(という理由がメインではなく、法案の内容があまりにひどいので)、ささやかな自分なりにできる入管法改定反対の運動をしていたので、ちょっとほっとしてますが、まだ廃案になったわけでもなんでもないですからね…。

 

何にせよ、ボビーの命日に泥が塗られなくてよかった、とちょっぴり安堵。

 

Senator, Robert Kennedy And Family - Bill Eppridge — Google Arts & Culture

 

 

1月に読んだ本

 このところ休日返上で働いてます。いやはや。

 もうすぐ楽になるはず、なんですが。

 

 それで突然ですが、そういえば、1月にあれ読んだと思い出したので、書いておこうかと。

 その本(たち)とは、添加物に関する本で、具体的にいえば、安部司氏が書かれた次の三冊。

 

 

 

 いやもう、前からなるべくあまり添加物のないものを食べるようにしていましたが、これを読んで以来、私はいちいちスーパーで品物の裏を見まくる嫌味なおばさんと化してます(^^;。

 あ、あとこれも読んだんだ。

 なんでこの本を読もうと思ったのか、もう自分でも分かりませんが、確かミナ・ペルホネンが年齢不詳と100歳でも可という求人広告を出したら、80歳くらいの女性が応募してきて、雇われたという記事を何かで読んで、なんとなく記憶に残っていた所に、当の本人が書いた本がある!と思わず購入してしまったんではなかったかと。

 こんな感じに元気に老後を過ごせたら素敵ですが、さて、私の場合はどうなるでしょう?

 それと、昨年から読んでいた『台湾の少年』の最終巻(第4巻)が出たので、それも読みました。

 主人公は戦前に日本語教育を受けている方なので、使用言語が日本語、中国語、台湾語と混ざっていて、日本人の知らない世界だなとつくづく感じました。

 自分が話す言葉に被支配の歴史が刻まれてるですね…。

 また、韓国にせよ台湾にせよ、これだけの犠牲と痛みと渇望を持って民主主義をつかみ取っているだけに、日本とは筋金の入り方が違うということも、改めて考えさせられました。

 そういえば、このところ、台湾がミニミニマイブームなんだった。

 以下は昨年読んだ本ですが。

 どちらも台湾移住の話が興味深かった。

 特に、『台湾はおばちゃんで回ってる?!』の著者のバイタリティには驚かされました。

 なにせこの方、離婚してシングルマザーになったときに、以前、結婚していた際に夫の仕事の関係で一時住んだことのある台湾の方が、シングルマザーにとって生き易いという判断で、中国語も分からないのに息子と共に台湾に移住したのです!

 今はライターとしてご活躍中。ちなみに、著者の方は私が愛読している『&プレミアム』で台湾の朝ごはんについて連載している方でした。

 もっとも本を読んでいる間、全然気が付かなかったんですが。

 

 はるる 

高野秀行にはまってる

 前回書いたように、鈴木邦男さんのように(手帳ではなく)このブログに自分が読んだ本(仕事関係の本は除く)を記録してみようかしらという気分になっているので、ちょっと書いてみます。もっとも、この気分がいつまで続くかは不明ですが(^^;。

 

 というわけで、このところ何を読んだかなあと振り返ってみました。

 高野秀行さんにはまっているのは確かで、これは昨年の秋からの流れ。

 ワタクシ、はるか昔にこのブログに高野さんの『アヘン王国潜入記』を購入したことを書いているんですが、どうもその時はその本を結局読まずに手放してしまったようなんですね。

 それで、仕切り直しで初めて読んだ栄えある?高野本は『語学の天才まで1億光年』です。

 で、早い話が、これがむちゃくちゃ面白くて、いきなり高野さんに開眼しちゃったんですな。

 読み終わって、近所の書店に走って、本棚を睨み回して見つけたのが角幡唯介さんとの対談本『地図のない場所で眠りたい』。

 これで、ますます高野さんの本を読みたい熱が高まると同時に、角幡さんの本も読みたくなってしまいました。

 いきなり高野さんから話がそれますが、この対談本に刺激を受けて、角幡さんの『極夜行前』を読み、その後『極夜行』を読み、さらに『狩りと漂泊』も読みました。

 ついでに言うと、この後に読んでみたい角幡本は『アグルーカの行方』と『探検家の日々本本』。

 

 

 

 この3冊全部には角幡さんの相棒犬であるウヤミリック(表紙にいる犬)が登場するんですが、この犬がいいんですわ、ええ!(それと『極夜行』は大傑作。やっぱり大佛次郎賞って、いつもいい本が獲りますね。)

 

 えーと、何の話だ。高野さん本に戻ります。

 それはともかく、この対談本の次に読んだ高野さん本は『謎のアジア納豆』。

 コロナ禍の最中に、私は御多分に漏れず(?)ぬか漬けをするようになり、その結果、発酵に関心を抱くようになって、いくつか発酵に関する本を読んでました。(発酵関連本については、また後日)。

 その流れで、納豆=発酵じゃん!と手に取った次第。

 いやあ、日本は納豆後進国だったんですね!目からウロコがポロポロ落ちる本でした!

 この本でますます高野沼にはまり込み、世評高い『謎の独立国家ソマリランド』を読みました。

 これは、想像以上に深くて、国家とは何か、民主主義とは何か、現在の西欧中心の世界秩序とは何かというようなことまで考えさせられる本でした。と同時に、ソマリランドという世界は認めていないけれど、立派に国家として成立している「国家」の仕組みや、それを支えている氏族制度など、文化人類学的なことも含めて、謎のソマリランドのことがよく分かる本でもあり、相変わらず笑いを誘いつつ、人間が異文化の人々と付き合うとはこういうことなのかもな…と思わせるものもあって、さすがは講談社ノンフィクション賞を受賞しただけのことはある本でした。

 

 そして2月に入り、今は『移民の宴』と『幻のアフリカ納豆を追え!』を少しずつ読んでます。そして、その合間に対談本の『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』を読み終えました。 

 

 この後、せめて『恋するソマリア』と『世界の辺境とハードボイルド室町時代』くらいは読みたいと思ってます。

 そして、改めて『アヘン王国潜入記』を読んでみようかな。

 

 はるる 

 

 

 

 

二人の追悼

 大変、久しぶりにブログを書きます。

 今年1月11日に鈴木邦男さんが、19日に目黒考二さんがそれぞれ逝去されました。

 今日の中日新聞夕刊に「鈴木邦男さんを悼む」(篠田博之)と「追悼 目黒考二」(大波小波)が並んでいて、開いた途端、思わず「あっ!」と小さい叫び声をあげてしまいました。

 

 鈴木邦男さんが亡くなったことは知っており、ああ、追悼文がこんなに大きく出たと思ったのですが、目黒さんが亡くなったとは知らなかったので、びっくりしました。

 4人組(椎名誠沢野ひとし目黒考二木村晋介の四氏)の中で誰が最初に旅立つだろうかと思うこともあったけれど、ああ、目黒さんだったんだな…という思いが過ぎりました。(一足先にあちらに行った吉野朔美さんと今頃、本の話をしてるかな)。

 

 私はこの二人が結構好きで、お二人の著作をそれなりに読んでました。

 鈴木さんについては、ドキュメンタリー映画愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』も観ましたし、『彼女たちの好きな鈴木邦男』なんて本まで読みました。

 

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 この本にどうして三浦瑠璃が出ているのかが、私には謎なんですが…。

 

 それはさておき、目黒考二さんの本で一番好きなのは何だろう、と考えると『笹塚日記』シリーズのような気がします。4冊くらいあったと思いますが、インパクト(私にとっての)という点では、やはり最初の『笹塚日記』かな。

 ただ、ひたすら本を読んでいる記録みたいな日記なんですが、しみじみと面白かった。(たぶん、あまり売れなかったんではないかと勝手に思ってます。ごめんなさい。)

 あ、でも、大森望氏との対談本(当然、本の話)である『読むのが怖い!』

も声を上げて笑いながら読んだ、好きな本だったなあ(遠い目)。

 シリーズ最後の3冊目の副題が「帰ってきた書評漫才」となっていて、それについて、目黒さんが本の雑誌社のサイトに不定期に連載されていた「目黒考二の何もない日々」の中(だったと思うけど)で、「え、俺たちがやってるのは漫才だったの?」と驚いたと書かれてましたが、いや、「書評漫才」は云い得て妙でした。

 

 鈴木さんの死を知って、家にあるだけの鈴木さんの本を集めて(5冊くらいだけど)、しばらく読みふけり、さらに、彼のブログもところどころ読み直したりして追悼しました。

 そして、先ほど、目黒さんの死を知って、「目黒考二の何もない日々」を少し読み返しました。

 目黒さんの本は『笹塚日記』シリーズも既に手放してしまいましたし、北上次郎名義のものも処分してしまったため、手元にあるのは『書評稼業四十年』のみ。

 これから、ちょっとこの本を読み返して自分なりに目黒さんを追悼しようと思います。

 

 ところで、鈴木邦男さんのブログや『鈴木邦男の読書術』を読み返して、1月に30冊読むというノルマ読みとか、全集を読破するといった話に刺激を受けまして、自分も少し、仕事以外で読んだ本について記録してみようかしらん、と思い始めました(←すぐに影響を受けるヤツ)。

 

 鈴木さんは手帳に記録していたようですが、私はこのブログに記録しようかしらと考え中です。

 ではでは。

 はるる

最近観た韓ドラ

 やめる潮時、と書いておいて何ですが、連休でちょっと一息つけているこのタイミングで、最近観た韓ドラについて、ちょっぴり書こうかな、と思います。

 昨年11月に苦労しながら(時間の捻出が結構大変でした、なにせ、1か月限定無料というので観てたもんで)『シグナル』(これも傑作)を観た後、しばらくドラマを観る余裕もなく過ぎたのですが、今年に入って、まず、1月~2月にかけてコツコツと『秘密の森』を観終わりました。

 ネットにある、このドラマについての紹介文を引用するなら、「ある殺人事件を追う検事と刑事が、組織の内部不正を暴きながら事件の真相へ迫る驚異の極上サスペンス」というのが『秘密の森』です、

 韓国で大ヒットし、主役のファン・シモク検事を演じたチョ・スンウは百想芸術大賞「テレビ部門」の最優秀演技賞を受賞してますが、もうこれは納得!

 なにせ、チョ・スンウが演じたファン検事は、ティーンエイジャーの時に受けた脳の手術の後遺症で感情がほぼなく、ただただ理性で動くという、特異な人物に設定されていて、ほぼ感情表現がないのですが、かといってロボットみたいでもなく、かすかにいろいろ感情があるなというのが分かる、どう説明すればいいのか難しいのですが、なんとも圧巻の演技なのです。これは最優秀演技賞、獲るでしょう!

 感情がないから、泣き落としも脅しも誘惑も通用せず、ただ己の理性に従って、ひたすら冷静に行動していくファン検事(ただし、感情がないわけでなく、それを表現できないだけなので、そのことがすごいストレスになって倒れてしまうシーンもありました)。

 彼の辞書に「忖度」の二文字は存在しません。そこが気持ちいいんですわ。

 そして、彼と名コンビを組む女性刑事ハン・ヨジンを演じたぺ・ドゥナがいい!

 こちらは、ファン検事とは違って、正義感に溢れ人情に厚い、感情豊かな刑事で、ファン検事にもどんどん関わっていきます。それで、ファン検事は、彼女との関係の中で、一瞬笑ったり、一瞬怒りが顔の表面をよぎったりと、感情がうっすら動くんですよね。それがまた、よくて。

 というわけで、暗くて重い内容でしたが、観終わったときは、いいドラマを観たという満ち足りた気持ちでした。

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 で、この3月~4月と少しずつ観て、つい先日観終わったのが、これも韓国で大ヒットした地上波ドラマ『熱血司祭』。

 1話30分だったので、少しずつ観るのにちょうどよく、痛快アクションコメディなんで、毎回どこかで大笑いしながら観て、本当にストレス解消にはもってこいのドラマでした。

 主役のキム・ヘイル神父役のキム・ナムギルがかっこよく、かつ、素晴らしい演技力で感心させられましたが、キム・ナムギルだけでなく、このドラマに出ているすべての俳優が一人ひとりすごくて、本当にその役柄にピッタリなのも素晴らしかったです。

 個人的に瞠目したのは、韓ドラ『パートナー』の時には、クールなアジアン・ビューティを演じていたイ・ハニで、彼女は野心的で豪快なヒロインを演じていて、その捨て身(?)の白目をむき、大声で笑う姿に最初、度肝を抜かれました。

 ところで、このドラマ全話観てみると、意外に(?)奥が深くて結構すごいテーマが隠されていたなあと思いました。

 それで、もう一度それをじっくり考えたくて、再度気になるところを視聴したいのですが、今まで視聴していたGAYO!は昨日で配信が終了し、たまたま入っているdtvが5月3日から配信開始のため、現在ちょうど端境期(というのか?)にあるため、それはちょっとお預け状態です。

 とりあえず、シリアスからコメディまで自由自在に達者に演じまくったキム・ナムギルの、シリアス面を垣間見られる動画を貼っておきます。(まあ、自分のためですね(^^;。ほとんどどなたも読んでいないブログだと思いますんで)。

 華麗なるキム神父様の回し蹴りのお姿が見られます。

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牛久

 最後に書いてから、もう8カ月が経とうとしているというこのブログ。終わらせるかどうか、本気で考えないといけなくなってきました。

 

 昨年度から、生活上も変化があり、仕事上もいわば中間管理職になってなんだか仕事が増え(目に見えて増加したのは、仕事関連のメール数)、本当に精神的、時間的余裕がない感じで…と言いつつ、息抜きと称してドラマ見てたりしますけど(^^;。

 あと、SNSをやっていると、ブログはお留守になりますね。

 何のためにブログを書くのかが、わからなくなってきていて。

 

 そんな状態の中で、最近のことを書いてみようと思います。

 

 最近観た映画で衝撃だったのは、何といってもドキュメンタリー映画の『牛久』。

 ウィシュマさんの事件で焦点があたった入管の闇に迫る映画でした。

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 もう公開は終わったかもしれませんが(少なくとも私が住んでいる地域では上映は終了してます)、もしまだ観る機会があるなら、ぜひとも観ていただきたい映画です。

 決して明るい気分になるような映画ではないですが。

 

 ドキュメンタリー映画『東京クルド』と『牛久』を観た目で、政府のウクライナからの「避難民」の方々への対応を見ると、いろいろ考えてしまいます、本当に。もやもやが募るというか。

 それで今、読もうとしているのが『難民鎖国 ニッポン』です。

 …あら、長い間ブログを書いてなかったので、どうやって書影を載せるんだったか、方法が分からない、なんてこった。

 こりゃ、やっぱりブログをやめる潮時かしら。