着物本

 昨晩は、友人が「夏休みに入ったんなら、これでも読んでリラックスしたら?」と貸してくれた『天才ファミリー・カンパニー』(二ノ宮知子)を読んで、私には珍しくちょっと夜更かしをしてしまいました。マンガを読むのは久し振りだったけど、なかなか楽しいマンガで、確かにリラックスできたなあ。ありがとう、Sさん!
 『天才ファミリー・カンパニー』には17歳のビジネスの天才夏木勝幸君を初め、天才・秀才・特殊能力保持者などいろいろ出てきますが、個人的には「盆栽の天才」である有吉太郎君が好きかも。お付き合いはしたくないけど、観察していたい。天才・夏木君も近くには寄りたくないけど、ファンとして観察していたい。経済音痴の私は、夏木君から5分で一生分のトラウマになるくらいの罵倒を受けるでしょーから。

 これが、夏木君です。

 …さて。
 夏休みなので、以前、触れた着物関連本についてちょっと書こうかなあと思います。大して読んでいるわけでもないので、すぐ終わります、たぶん。

 私は、昔から着れもしないくせに着物に関心があって、折に触れて、着物関連の本を読んでいますが、最近分かったのは、私という人間は着物という衣服の形もさることながら、着物を構成している布により興味があるらしいということ。また、着物の着手の生き方がにじみ出るようなことが書かれている本に弱いということが、分かってきました。

 そういう私にとっての着物本の双璧は、青木玉幸田文の箪笥の引き出し』と鶴見和子の『きもの自在』なのでありました。

 

幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫)

幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫)

 
 
きもの自在

きもの自在

 この二冊に出てくる着物も着物にまつわる話も、大好きです。メキシコの布やらインドのサリーで帯を作る話とか、鈍色の着物や裁ちかけの浴衣の話とか。

 そして、布を眺めて目の保養という点では、檀ふみ『檀流きものみち』と宮尾登美子『きものがたり』といったところがよろしいなと。

檀流きものみち

檀流きものみち

きものがたり (文春文庫)

きものがたり (文春文庫)

 着物を着る生活は未来永劫しないであろう身分(?)ですが、これらの本の写真を眺めつつ、阿波しじら、いいなあ、洋服地としても人気があるというから、これでワンピース作れないかしら〜などと妄想の世界で遊んでおります。
 小千谷縮(本物は一年に十反も出来ないので市場には出ないなんて、知らなかったなー)、有松絞りや長板中形染めの浴衣、会津木綿、結城紬に郡上紬、芭蕉布宮古上布、紅花染めに紫根染め、鳶八丈や黒八丈、塩沢、大島…。見てみたい、触ってみたい、欲を言えば羽織ってみたい布はたくさんあるなあ。
 宮尾さんの本では、色無地の着物とか縞の着物、あるいは大島ののページを眺めている時が多いですね。また、戦前、戦中の着物事情も分り、そうだったのかあと思うこと再三。
 こういう「かたいきもの」が好き。要するに、私は「柔らかい着物」と呼ばれているものを好まないのであります。第一、やせっぽっちで薄っぺら〜な体つきなので、おそらく、そういうものは似合わない。妹の結婚式の時、着物を着たのですが、その際、バスタオルで補正されてしまった人ですから。
 そういえば、刺繍の着物について読んだ時など、自分が持つわけでもないのに、こんなに手入れが大変なのはいやだななどと真剣に考えてしまいました。こういう着物を愛して大切に着ている人々は偉い。

 他にも、着物関連本は多少読んでいるんですが、あまり記憶にない、あるいは感銘を受けなかった、もしくは本に出てくる着物が好みではなかったなどの理由で、ここでは却下。
 あ、でも原由美子さんの『きもの着ます。』は、あの原由美子さんが!という驚きと載っていた着物が割りと好みだったので、挙げておきます。

 

きもの着ます。

きもの着ます。

それと、着物本というわけではないですが、沢村貞子さんが着物に関して描かれているエッセイも好きでした。沢村さんを通じて江戸小紋への憧れがふくらんで、着たかったんですよねー、昔。

 ところで、現在私が読んでいるのは、清野恵理子『きもの熱』です。これに出てくる着物は、私好みだわ〜。というわけで、楽しみつつ、ゆっくり読んでいます。

きもの熱

きもの熱

 で、この夏休み中にぜひ読みたいと思っているのが、群ようこさんの『きもの365日』だったりするんですねー。近日中に本屋さんに捜しに行かねば。

 

きもの365日 (集英社文庫)

きもの365日 (集英社文庫)

 はるる