旅で読んだ本

 旅の間に、『琉球布紀行』と『文政十一年のスパイ合戦』を読了。


琉球布紀行 (新潮文庫)

琉球布紀行 (新潮文庫)


 単なる美しい布の物語では終わらない。
 そこには沖縄戦が大きな影を落としている。

 読んでいる間、布を織るという行為に生命を感じ、人間の確かな営みを感じ、人はこうして生きるのだと感じた。

 素晴らしい一冊。文章もいい。お勧め。


 


 こちらは打って変わって、シーボルト事件とは何だったかを語るノンフィクション。

 シーボルトがスパイだったことに、へえ〜とちょっと驚いたが、シーボルトの諜報活動を支えていた人が裏では実は・・・というのもびっくりで、さらにその奥に蠢く幕府の真の目的はというのになると、ほおおとなりました。

 シーボルト事件というと、彼が日本地図を持ち出そうとしたということしか知らなかったのですが、いやあ、真相はすごいですねー。

 それにしても、学者とはこうでなければと思わせる著者の調査、研究の態度に頭がさがりました。

 個人的には、鎖国時代の日本におけるオランダへの視線が興味深かったです。
 あと、抜け荷の話も面白かった。前から関心があったので。

 「開国」をキーワードにして、田沼意次時代から幕末までを見る秦さんのスケールの大きな、現在執筆中という著作の完成を心待ちにしております。

 はるる