夕凪の街 桜の国
昨夜『夕凪の街 桜の国』観に行きました。
上映時間の三分の二は滂沱の涙状態。
原作もすばらしかったけれど、映画もすごかった。
役者さんはどの人も素晴らしかったですが、主役の二人の女優さんの演技はとりわけ魂がこもっていたように感じられました。
「怒りの広島、祈りの長崎」と言われますが、そういう雰囲気のせいなのか、私は広島をずっと避けてきました。
原爆の被害の凄惨さと原爆投下の犯罪性を否定する気は毛頭ないですが、同時に、日本人=純粋に100%被害者の立場から原爆をみることに抵抗感があって、当時の日本人の加害性との絡みを自分のなかで整理をつけられず、広島に関しては思考停止を続けてきました。
そのため、数年前にカナダで広島の原爆で何人死んだのかと尋ねられたとき、死者の数も正確に知らなくてちゃんと答えられず、そんな自分に愕然としました。
そのことが、帰国してから『父と暮らせば』を観に行き、今回の映画を観に行くことにつながっているように思います。(ところで、『父と暮らせば』も非常にいい映画でしたねえ。宮沢りえはすごい女優さんになったなあ。こういう、真正面から原爆の悲劇を描いた!式でない映画のほうが、私にはピンと来るみたい。)
いまだに整理がつかないままですが、広島から逃げないで、ゆっくりでいいから正面から見ようと思い始めているこの頃。
映画の衝撃が大きくて、昨晩はあまり眠れなかったのですが、寝つかれない夜の間、なぜか私の頭の中では「神は愛である」という言葉がぐるぐる回っていました。
あの壮絶な原爆後の広島の風景と「神は愛である」という言葉。
これくらい相容れないものはないのではないかと思う二つのもの。
あの生き地獄をさまよっていた人に「神は愛である」という言葉はいかほどの意味をもつというのか―。
それなのに、「神は愛である」というのは真実だ、ということ。
ここから神学が始まるのかな・・・。
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はるる