近況

 あれよあれよと日が過ぎていく感じです。

 昨日まで東京に会議出席で出かけていて、今日は尾鷲まで日帰り。疲れました…。

 
 尾鷲までの往復の特急ワイドビュー南紀の車中で読んだのは、『古代教会における財産と富』。

 
 

古代教会における財産と富

古代教会における財産と富


 この題名ですと、なんだか古代キリスト教教会が財産や富をかき集めていたといったことを想像する人もいそうですが、内容は、財産や富についてどのように初期キリスト教は考えており、実際にどのような対応をしていたかというもの。


 貧者を救済する社会的責任を重視した宗教だったことが他の古代地中海世界の諸宗教と異なっていたことや、多すぎる富所有への厳しい批判など、興味深く読みました。

 こういうキリスト教の社会的行為、公共的実践についての研究をもっと読みたいというのが、目下の希望。
 この本には丁寧な参考文献案内が付いているのですが、残念ながら殆どがドイツ語書籍。(著者がドイツの聖書文献学の大家だから。)


 二週間ほど前、DVDでロベール・ブレッソンの『ジャンヌ・ダルク裁判』を観て、リュック・ベッソンの『ジャンヌ・ダルク』がいかに凡作だったかが、よーくわかりました。

 ジャンヌ・ダルク裁判の記録を使い、素人ばかりを起用して制作されたというこの映画、ジャンヌ・ダルクを知ろうと思ったらまず観るべき映画ではないでしょうか。

 白黒の硬質な画像、画面に漲る緊張感、火刑後にジャンヌを縛り付けていた柱が真っ黒く炭化しているのを映す映像は衝撃的でした。


 この映画は、裁判記録に残されている裁く側と裁かれる側の会話をそのまま使っているため、実際にジャンヌが裁判で語ったことを(基本的に)聞くことができます。


 さっそく、私が図書館からその裁判記録(『ジャンヌ・ダルク処刑裁判』)を借りてきたことは言うまでもない^^;。

 
 

ジャンヌ・ダルク裁判 [DVD]

ジャンヌ・ダルク裁判 [DVD]

 

ジャンヌ・ダルク [DVD]

ジャンヌ・ダルク [DVD]


 

ジャンヌ・ダルク処刑裁判

ジャンヌ・ダルク処刑裁判


 復権裁判の方(ジャンヌ・ダルク復権裁判』)も翻訳されているので、そちらも読んでみたいです。

 こちらは、ドンレミ村時代にジャンヌをよく知っていた人々の証言が記録されており、人間ジャンヌをよりよく知ることができる資料のようです。

 

ジャンヌ・ダルク復権裁判

ジャンヌ・ダルク復権裁判

 

 二つの裁判記録を訳されたジャンヌ・ダルク研究の第一人者(と思しき)高山一彦氏による『ジャンヌ・ダルク』も借りて読書中。
 これは、550年間にわたるジャンヌ像の変遷を取り上げたもの。

 

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

 昔、竹下節子さんのジャンヌ関連本を読んだ記憶があります。はみ出しすぎた異端は聖女だといった論理だったような…。
 

 

ジャンヌ・ダルク (講談社現代新書)

ジャンヌ・ダルク (講談社現代新書)


 最近好きな歌。

 Siaの「Breathe me」。

 
 


 あ、東京往復で読んだのは松本宣郎『キリスト教徒大迫害の研究』でした。

 緻密で徹底的な研究に、圧倒される。研究者の一つの理想を見た思いがしました。

 キリスト教徒の方ですが、批判的キリスト教史を研究しているその姿勢に、親近感といいますか、同志のような気持ちを抱いてしまいましたよ。(向こうは「あんた誰?一緒にしない」でと言いたいでしょうが。)

キリスト教徒大迫害の研究 (キリスト教歴史双書)

キリスト教徒大迫害の研究 (キリスト教歴史双書)

 はるる