現代短歌第二弾
短歌第二弾、お送りしてみたいと思います。
わたしの周辺では、短歌の話題を出す雰囲気ではなくて、誰かに話したかったので。妹には少し教えて、大受けしましたが。
さて、読んだその日から頭を離れなくなった歌としては、
田中槐(えんじゅ)の
「他者とは神であるという哲学を柄谷行人(指がきれいだ)」
があります。(指がきれいだ)というのが頭にこびりつきました。なんていうか、( )に入れると、ささやいているような、遠くで言っているような効果が出て、歌がポリフォニーになる感じがします。
現代短歌はこの技法を時々使うということを知りました。例えば、
杉山美紀の
「お元気で 冬のコートは(風ニノミ独白ハ許サレ)下からボタンを」
のように。それから
紀野恵の
「不逢恋逢恋逢不逢恋ゆめゆめわれをゆめな忘れそ」
前半の漢字がずらずらの部分は、
「あはぬこひあふこひあふてあはぬこひ」とルビがふってあります。
高校生の時に、この方はこの歌を作ったそうですが、すごいですねー。
自分の高校時代を思わず振り返ってしまいました。しかし、おじさんだって負けてはいない!
奥村晃作の問題作、
「ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く」
この歌は発表された時、歌壇でかなり話題になったそうです。私は好きですね、この歌。なんか落ち着きます。
山崎方代の
「私が死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう」
も心に響いた歌です。
香川ヒサの歌
「タバスコを振り過ぎ「ありゃ・りゃ」と言ひたれど誰もをらねば「りゅ・りょ」と続ける」
というのも好きです。一人暮らしが上手く捉えてあると思う。その他・・・
「http://www.hironomia.go.jp くちなしいろのページにゆかな」(吉川宏志)
「宮廷のふかき奥には徘徊の鈴をつけたる皇帝がゆく」(池田はるみ)
「ぼくんちに言語警察がやってくるポンポンダリアって言ったばっかりに」(加藤治朗)
「〈女は大地〉かかる矜持のつまらなさ昼さくら湯はさやさやと澄み」(米川千嘉子)
「獏を喰ふメタ・獏のごとはろばろと群青天下しづかなりけり」(坂井修一)
この坂井さんというのは、情報工学のご専門の方だそうで、こういう歌をお詠みになったりするんですねー。こんな歌ばかりではないですが。分かるような分からないような歌。
怖い歌を詠む人だと思ったのは
栗木京子で
「天敵をもたぬ妻たち昼下りの茶房に語る舌かわくまで」
主婦のある側面をすごく的確に捉えているとショックを受けました。毒がある。
同じ作者で
「扉(ドア)の奥にうつくしき妻ひとりづつ蔵(しま)われて医師公舎の昼□(た)け」
「たけ」という漢字、難しいやつで出せません。すみません。これも、鋭い!そして怖い。
ついでに怖いと思った歌をもう一首。
藤原龍一郎の
「ケイコウトウガキレカケテイルイエジュウノケイコウトウガキレカケテイル!」
なんか気が狂う寸前という感じ。
はるる