女性の成熟

 仕事が忙しくなると、私の場合、まず削るのがブログをはじめとするとするネット関係の時間なので、いきなり更新頻度が激減という感じであります。

 仕事が忙しいと言いつつ、内面からの必要性に促されてここの所読んでいるのが、女性の内的成熟に関する本です。

 あることをきっかけに、ふっと「アモールとプシケー」の神話を使って女性の内的成熟を説明している話を読み直したくなり、確かその話が載っていたはず、と大昔に一度読んだ玉谷直実氏の『女性の心の成熟』をまず読みました。

女性の心の成熟

女性の心の成熟

 それから、やはりこれはもとを読まねばなるまいと、ノイマンの古典的名著である『アモールとプシケー』を読みました。
 この二つを読んで、自分は大体この辺りの段階にいるのだなというのは分かった気がしています。

 

アモールとプシケー―女性の自己実現

アモールとプシケー―女性の自己実現

 その後、前から機会があったら読みたいと思っていた『女はみんな女神』をよみました。ちなみに、邦題はなんだ?と思うような題ですが、原題は Goddesses in Everywoman: A New Psychology of Women で、ギリシャ神話のそれぞれの女神が示す特徴が、女性の中にある女性元型の側面を表しているという視点で書かれてます。

女はみんな女神 (ウイメンズ・ブックス)

女はみんな女神 (ウイメンズ・ブックス)

 アメリカにいた時、K・A・シグネルの『女性の夢』(Wisdom of the Heart:Working with Women's Derams)に大きな影響を受け、また大変助けられたことがありますが、この『女性の夢』が挙げる参考文献の中に、『女はみんな女神』もあって、いつか読んでみたいなあと思っていたのです。

女性の夢―こころの叡知を読み解く

女性の夢―こころの叡知を読み解く

 『女はみんな女神』で言われていることは、女性の中には活性化されうる元型があり、それが七人の女神で表現できる、つまり母親元型を示すデーメーテール穀物、大地の女神)、彼女の娘でコレー(乙女)とも呼ばれる娘元型のペルセポネー、妻元型のヘーラー(ゼウスの妻で結婚の守護神)、恋人元型のアフロディテー(美の女神)、その他、父の娘であるアテナ(知恵の女神)、妹であり競争者であるアルテミス(狩猟の女神)、炉を守る女神でもっとも内向的で宗教的な元型(観想修道女になる人はこれが強いそうな)であるヘスティアーだ、ということです。

 さらに、この七人は三つのグループに分けることが出来、第一グループは処女神(アルテミス、アテナ、ヘスティアー)、第二グループは傷つきやすい女神(ヘーラー、デーメーテール、ペルセポネー)、第三はアフロディテー一人で、錬金術の女神、となります。

 処女神たちは、女性が自立し自足している性質を表現し、アルテミスとアテナは目標志向性と論理的思考を、ヘスティアーは内面に、女性のパーソナリティの精神的中心に注意を集中させる元型。
 傷つきやすい女神たちは、妻、母、娘という女性の伝統的役割を表現し、そのアイデンティティと幸せは、他者と重要な関係を持つことにかかっています。これらの女神たちは、女性の親和と絆への欲求を表現しており、相手に調子を合わせようとするため、傷つきやすいのです。そして、この三人の女神たちは、処女神たちと異なり、男性の神々からレイプされ、支配され、あるいはおとしめられるという側面を持っています。
 最後の錬金術の女神は、自律性を保持し、けっして犠牲者になることはないけれども、傷つきやすい女神のように関係の中に生きています。彼女の意識は集中していると同時に受容的で、そのため彼女自身と相手の双方が感化される相互的な交流ができます。つまり、異なるものから創造的なプロセスを産み出す、つまり錬金術を起こす元型、ということですね。

 …ということで、本の大半を割いて各々の女神元型について詳しく説明してあります。自分の中にどんな元型が働いているか、今まではどれが強かったか、これからはどの元型がもっと強くなるといいかなどを考えさせられて、興味深かったです。
 この本、女性の方にはお勧めします。フェミニズムの影響を受けた心理学ですね。今の第三世代のフェミニズム運動の中ではこういうのはどう評価されているのか、私は知りませんが、自分にとっては助けになりました。

 はるる