テクノクライシス

 三夜連続のNHKスペシャル「危機と闘う テクノクライシス」を見て、やはり一番衝撃だったのは、軍事ロボットについての第二夜(「軍事転用の戦慄―ロボット」)の内容でした。
 仰天したのは数千キロ離れたアメリカ本土でモニターを見ながら、「プレデター」(無人のロボット偵察・爆撃機とでも言えばいいんでしょうか?正式名称を知りません、無知だから)を通して爆弾を埋めていたイラクの人を監視し、逃げようとする彼等を攻撃して殺害する瞬間の映像。これはもう、声も出ませんでした。ワシントンで「プレデター」を操縦するパイロットは「テレビを見ているようなもんさ」と言い放っていたけれど、いきなり空から爆弾が降ってきて死ぬイラクの人にとってはこれはたまりませんね。いくらアメリカに敵対する行為(爆弾を埋める)をしたからって、あんな闇討ちみたいに殺していいのだろうか。しかも、殺す側は殺した実感ゼロ。感覚が狂っていく感じで、もうどう考えたらいいのか、テレビの前で呆然としてしまいました。

 今、時代はここまで来ていたんですね。全然知らなかった。(←呑気過ぎ?)
 これではもう、すっかりSF映画の世界ではないですか!
 パワースーツの話といい、もう事態は急激に進行していて、教会が倫理的に…なんていっている間に相手は数千キロ先に行ってしまっている、そんな感じです。
 それにしても、人間の知恵をどうしてこんなことに費やしてしまうのだろう。 平和利用のために開発を進めている日本の技術も目をつけられて、アメリ国防省から誘いの電話がかかってくるという話は興味深かった。と同時に戦慄してしまう。
 どうして、技術の進歩とともに、人間の心、愛の心も成長しないんだろう。そうすれば、全然違う世界になっているだろうに。
 …こういう番組を見たときの自分のナイーブさ(英語本来の意味です)につくづく我ながら呆れつつも、こんな小学生みたいな感想しか出てきません。

 軍事ロボットの研究、実用化がここまで進んでいるという映像を見て、遠藤淑子のヘヴンシリーズの話もこりゃ荒唐無稽のお話ではなくなるぞと思った私。
 このマンガには要人暗殺を目的とした人間そっくりのロボットが出てくるのですが、愛・地球博で展示されたぱっと見たんでは見分けがつかないロボットのことを思うと、人間そっくりのロボットはそのうち実現してしまうかもしれないなといきなり現実味を感じてしまいました。人間は思ったことは必ず実現させてしまうから。 
 でも、どうして実現させようと思ってしまうんだろう。そのエネルギーは何だろう。人間そっくりにロボットを作る意味ってどこにあるんだろう??

 えーと、ともあれ、遠藤淑子の『ヘヴン』『ヘヴン2』、傑作です。もし機会があったらぜひお読みあれ。
 絵はね、ちょっと上手いとはお世辞にもいえないので抵抗感ある方もおられますでしょうが、話はいいです。それに、絵もなんだかんだ言っても、ちゃんと表情が描けているのでいいと私は思う。デッサンが崩れた感じなので、下手と感じてしまう絵ですが、登場人物は的確な表情をする。それがいい。(この点については表情がなくなってきた最近の川原泉よりいい気がする。そう、ワタクシ結局川原泉の新作買ってしまいました。感想はいずれ書く…かも。川原教授の新作、私は気に入りました。)
 殺人用ロボットなのに、機能停止しそうになると、自分の罪を告白するよう設定されているルークが、何とも(;_:)。

ヘヴン (花とゆめCOMICS (2044))

ヘヴン (花とゆめCOMICS (2044))

ヘヴン (2)

ヘヴン (2)

あー映像がない。残念。
 『ヘヴン』で周到に張り巡らされている伏線を生かした第三弾を遠藤さん、描いてください。お願いします。

 また、今日から東京に行きます。会議に出席して帰ってくるので、名古屋に戻るのは月曜日の夜です。では。

 蒸し暑さと冷房で痛めつけられているはるる