ぶどうパン

 お久し振りでございます。
 なんだか気ぜわしい日々が続いております。

 そんな中、息抜きになる本を眺めたいな〜と思って図書館から借りてぱらぱら見ているのが『物語のおやつ』です。

物語のおやつ

物語のおやつ

 子供時代に夢中で読んだ懐かしい本の中に登場するおやつの数々。
 『あしながおじさん』のレモンゼリー、『赤毛のアン』の木いちご水やレイヤーケーキ(喉の痛み止めの薬入れて焼いてしまった奴ですね)、『小さなスプーンおばさん』のパンケーキとこけもものジャム、そして『小公女』のぶどうパン。
 そういった物語に出てくるおやつについて、松本侑子さんがエッセイをつづっておられる一冊。レシピも12ついていて、いい感じです。

 私の心に一番残っている物語の中の食べ物は、『小公女』のぶどうパンと『若草物語』の砂糖漬けのライム(だったと思うんだけど)です。
 後は、『家なき娘』で物語の後半、セリーヌが森の中の小屋に住み始めて、小鳥の巣から卵を取ってそれを調理する場面ですね。
 ぶどうパンはとっても心に残って子供のとき、レーズン入りのパンを食べる度にセーラのことを思い出しました。昔は甘パンと訳されていたような気もしますが、レーズン入りの菓子パンを食べるたびに、こんなんだったのかなあと想像したものでした。
 『若草物語』のライムについては、いまだにどんなのかよく想像できません。

小公女 (新潮文庫)

小公女 (新潮文庫)

家なき娘〈上〉 (偕成社文庫)

家なき娘〈上〉 (偕成社文庫)


 『大草原の小さな家』シリーズも小学生の時、繰り返し繰り返し暗記するほど読み、そこに出てくるなんだかよく分らない食べ物について、いろいろと思いを馳せたものでした。ルバーブパイとかアメリカに行って初めて食べて、これなのか!と感激したものです。
 特に、『農場の少年』には、さまざまな食べ物があふれんばかりに出てきて、よく食べるなあとアルマンゾの食欲に驚き、ほんとかな?と疑いながら、胸をわくわくさせつつ読んでいました。

大草原の小さな家 ―インガルス一家の物語〈2〉 (福音館文庫 物語)

大草原の小さな家 ―インガルス一家の物語〈2〉 (福音館文庫 物語)

農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 (福音館文庫 物語)

農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 (福音館文庫 物語)

 
 『赤毛のアン』シリーズは松本さんの新訳が出ていますが、子供の頃に親しんだ村岡花子さんの訳文は私の中にすっかり入ってしまっています。
 「結婚の申し込み」といったちょっと古めかしい言葉遣いとか、リンド夫人の「まったくのところ」なんて、もうこれでなければ!という感じがします。
 大人になって英語でシリーズを読み返してみて、モンゴメリの品のいい英語に感じ入った覚えがあります。読みやすくて上品な英語っていいですね。

 そういえば、『あしながおじさん』の日本語版で教授と訳されている部分をてっきり男性の教授だと思い込んでいたのに、英語で読んでみたら、sheと書いてあり、全員女性の教授だったことに驚いたことがあります。
 懐かしい本たちを原文で読んでみると、また新しい発見があるかも。

 『物語のおやつ』にも、松本さんが『若草物語』を原書で読み返したら、物語の構造がそっくり『天路歴程』をなぞっていることに気が付いて、びっくりしたというくだりがありました。これには、私もびっくり!19世紀から20世紀はじめに書かれた少女小説群は、侮れません!

あしながおじさん (岩波少年文庫)

あしながおじさん (岩波少年文庫)

 というところで、本日はこれにて。

 はるる