RFKおまけ

 Emmausさんがコメント欄で書いてくださったことについて、一言。本当はコメント欄に延々と書いたのですが、なぜかアップしようとしたとき、書いたものがすべて消えてしまいました(泣)。

 RFKについては力が入ってしまって、ちょっと恥ずかしいのですが、えーい、ファンならファンで、その道を突き進めってな感じで、また書いてしまいます。

 コメントで書かれてあるとおり、私も、RFKは自己変容を受容する能力において、稀有な人だったのだと思っています。
 チャベスもボビーの「成長する能力、体験によって変えられる力」について語っていますし、キング牧師も自分が一番ボビーについて印象づけられたのは、彼の「学ぶ能力、成長する力、与えられた状況における創造力」だったと述べたそうです。


 『RFK』を書いたジャーナリストのニューフィールドは「ケネディをユニークな存在にしたのは、彼が白人男女の労働者層に対して、黒人、ラティーノネイティブアメリカンに対して感じたのと同じエンパシー(共感)を感じることができたことだ。」と書き、 RFKには「不幸な状況に置かれた人々の目から見た世界を想像する力があった。何人かのリベラルな政治家たちも、黒人あるいはヒスパニックの目を通して同じことができる。しかし、彼はブルーカラーの白人の目を通してもできた」と指摘しています。
 その結果、(ニューフィールドによると、)ボビーは、普通だと肌の色で分断されている、貧しい黒人、ヒスパニック、ネイティブアメリカンと南部のプワーホワイトの間に協力関係を創造することができました。(これはめったにできることではないと思います!)

 ニューフィールドはまた、「ケネディの強さは、彼が、アメリカの政治家にはまれなやり方で考えと行動を結びつけた点にある」と書いています。

 一言でいうと、(ひいきの引き倒しかもしれないですが)RFKの行動を支えたのは「スプランクニゾマイ」(イエス・キリストが貧しい人々などを見たときに感じる感情を表現したギリシャ語。はらわたが動かされるということ)だったのではないかなと、私は思っています。
 彼は貧しい人々と出合って、本当に心から動かされた人でした。だから、あれほどまでに貧しい人びとが、黒人であれ、メキシコ系であれ、白人であれ、彼を熱烈に支持したのではないかな、と。つまり、RFKがポーズではなく、政治的な計算のためでもなく、本当に自分たちに共感を抱いて、本気で自分たちの側に立っているということを、彼らは感知し、だからこそ、あんなに喜んで彼に対して希望を持ったのではないかと、勝手に想像しています。

 ボビーの選挙戦の映像で何が一番印象的かというと、おびただしい数の貧しい黒人やメキシコ系の若者、特に子どもが彼の後を追っていつも走っているということです。それも、本当に嬉しそうにボビーの乗っている車の横を走っている。
 彼らがどれほどボビーに希望を感じて彼に賭けていたか、すごく感じさせられます。 
 キング牧師の亡き後、もうボビーしか残っていないというせりふが『ボビー』にも出てきますが、これはドキュメンタリーや本の中にも出てくる言葉で、彼はキング牧師の跡継ぎだったんですね。非暴力のシンボルという意味においても(これについても、私の好きな話がありますが、長くなるのでやめます)。

 ブッシュの横を黒人やヒスパニックの貧困層の子どもたちが嬉しそうについて走る姿はちょっと想像できません。(ファンダメンタリストの子どもならやるかしらん?)
 

 だから、ロバートの死後、エドワード・ケネディ(テディ)の最大の不幸は、同じ共感を貧しい人々に対して抱いていないにもかかわらず、そっくりロバートの真似をしたという点にあります。
 別に共感を抱けないのがいけないということではなく、テディにはテディの道があったはずで、彼は自分の声を見つけるべきだったということです。

 ボビーはジャックが死んだ後、自分自身の声を見つけて、自分自身になった。
 テディはエピゴーネンで終わった。
 そこが、両者の運命を分けたと、私は思っています。


 ロバートはある意味で、大統領にならなくてよかったかのかもしれません。暗殺されることで、純粋な形で彼の精神がいわば保存されたからです。
 大統領になっていたら、ああも理想主義を貫けたかどうか、ちょっと分りません。

 The Kennedysの中で、RFKの選挙運動の責任者だった人(だったと思うけど)が、RFKは最高の大統領か、さもなければ最低の大統領になったと思うといっていましたが、純粋な夢として冷凍保存されて伝説になったのは、ひょっとしたら良かった・・・のかな?(彼が死んでアメリカの方向性が歪んだという見方からすれば、彼の死は最大の不幸ですが。うーん、難しい。)


 RFKのことを話し出したら、きりなくいくらでも話してしまうので、もうこれで終わりにします。
 どうも、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 はるる