飛行機の中で読んだ本
湿気がなく、爽やかで、最高気温は20度、外に出ればライラックやらタンポポやら種々の花々が咲き乱れている札幌から名古屋に帰って来てみれば、湿度は高いし夏みたいに暑いし、でいきなりぐったりしております。
ところで北海道では、札幌ラーメンではなく、なぜか苫小牧ラーメンを食べました。
会議の合間に北海道大学に行き、おお、これが獣医学部か!これが漆原教授が銀杏拾い競争をくり広げたイチョウ並木か!と感動しながら散策し、ちょっと満足。
でも、他の観光名所には行けず。
次に期待しよう。(次はいつなんだろ?)
結局、私がこの出張中に読了したのは、『黒人差別とアメリカ公民権運動』でした。
書かれている差別の凄さに本当だろうかと思いたい一方、アメリカでたくさん放映されていた黒人差別関連の番組を思い出すにつけ、そうだ、ここに書いてあることは本当なんだと一つひとつ震撼としながら読みました。
公民権運動の始まりとして挙げられていたエメット・ティル事件は、ドキュメンタリーで観たことがあり、当時の人びとにすさまじい衝撃を与えたという、リンチされて殺された少年エメットのむごたらしい死体を、番組を通して私も写真という形でこの目で見ていたため、本に書いてあることがすっと入ってきた感じです。
人間が相手は自分と同じじゃないと思えばいくらでも残虐になれるし、自分はいいことをしているとすら思えるのだということ、同時に自らの人間の尊厳を守りたいと固く思った人間がどれほど強くなり、一種の威厳を帯び、そして物事を動かすかを、この本から学んだと思います。
ただ、私の学びはまだ知識レベル。これを本当に自分の血肉にするには、本を読むだけではダメだなとつくづく思いました。
現場に触れること。触れて変えられるのを怖れないこと。
黒人差別とアメリカ公民権運動―名もなき人々の戦いの記録 (集英社新書)
- 作者: ジェームス・M.バーダマン,James M. Vardaman,水谷八也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 新書
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白人の平等を求める黒人への憎悪を象徴するとして、リトルロックで1957年にセントラル高校に入学しようとするエリザベス・エクフォード(黒人)を阻止しようと押し寄せた白人群衆が猛り狂って、エリザベスの背後から彼女に罵倒を浴びせている、すごく有名な写真があります。
特に、エリザベスのすぐ後ろから罵っている白人の少女の大きく開けた口が憎悪そのものに見えて、最初この写真を見たとき、私はひどく恐ろしかったのを覚えています。
この本を読んで驚かされたのは、この白人の少女ヘイゼル・ブライアン(当時15歳)と、エリザベスがその後どういう関係になったか。
まだまだ、人間には希望がある。
人間はこれだけの力があると信じたいです。
はるる