ひさしぶりにファッション

 今週のTIMEには増刊号Style & Designがついていて、そのテーマが Introducing: the global luxury survey。

 興味深かったのは、中国、インド、ロシアという経済発展著しい各国において、高級ブランドとして最も言及されるのはどこか、という調査内容でした。

 中国は、一位がシャネル、二位ロレックス、三位ラコステ
 
 突如、経済の自由を得てリッチになった中国人はまず、金持ちだということを示すための必需品として、伝統的なフランスブランドとお高い時計に走るのだというコメントがついてます。

 ちなみに、一般によく知られている高級ブランドは
 一位 ロレックス 二位 ラコステ 三位 ヴァレンティノ だそうで。

 それに対して、ライバルのインドにおいて、最も言及される贅沢なブランドとは
 
 一位 Park Avenue 二位 Allan Solly
 ※今、調べたらどちらもインドのブランドで、男性をターゲットにしている模様。
 三位 ロレックス。

 これ以下も、四位がオメガ、5位がReid & Taylor(調べて見ると、スコットランドの高級生地のメーカーみたい。物知らず?)、6位がRaymond Weilと、耳慣れないブランドが並んでいます。

 一般によく知られている高級ブランドも、一位、二位は同じ順序で、三位がReid & Taylorでした。

 時計のブランドが強いところが、男性主導を伺わせますね。
 そして、地元ブランドが強いというのが面白い。

 ちゃんと記事のコメントにも、インドで最も言及される高級ブランド6つの内3つは、現地もしくは男性のためのものと指摘されていました。

 女性ではなく男性が主役なんだ。日本と全く逆ですね。
 記事には、女性はサリー中心だから、男性ファッションが中心になるのだと指摘があり、納得。

 それにしても、どうして一般的に女性に民族衣装が残り、男性は西洋化するのでしょうか?ジェンダー論で誰か論じてないかしら?

 さて、ロシアになりますと

 一位 シャネル 二位 ジョルジオ・アルマーニ 三位 ディオール

 一般知名度

 一位 ヴェルサーチ(意外!) 二位 ディオール 三位 シャネル 
 
 中国やインドに比べると、ロシアは高級ブランド市場がより発展しており、他の二つに比べれば、はるかに本来ヨーロッパ的なので、上記のようになるのだと分析されてます。

 日本で同じ調査すると、どうなるのでしょうね。やはり、一位はシャネルかなあ。二位は…なんだろ?


 ☆ ☆ ☆

 ぎゅうぎゅう詰めの仕事で息をつく暇がない感じなのですが、一瞬区切りがついたときに、ぷっつんして『ファッションのチカラ』なんて読んでしまいました。(そんなもの読むから仕事が押せ押せになるんだよ、自分。)

 

ファッションのチカラ (ちくまプリマー新書)

ファッションのチカラ (ちくまプリマー新書)


 ファッションの歴史を簡略に述べられている部分で、女性の身体を解放する方向へ進んでいた流れが、1960年代(また、60年代だ!)に質的な大転換を起こし、身体と衣服の関係を根底から変えてしまったというくだりが、興味深かったです。

 どんな質的転換かというと、要するに、従来の洋服の構造に手を加えて、身体を見せたいように見せるあり方ではなく、身体そのものを改造しようという変化。服が身体に合わせるのではなく、身体が服に合わせる時代にこれ以降なった、というのです。(131〜132pp)

 そして、やせ願望が広がっていくわけですが、そこには「身体の客体化」さらには「他人化」という問題が潜んでいる、そしてこれこそが問題の本質だと指摘は続きます。(133p)

 ファッションの命は着る人の自己表現として、その個性化と多様化にあります。ファッションとは自分を他人化して埋め込むことではありません。(136p)

 しかし、現在の日本では、人間が洋服に合わせねばならず(体型画一主義)、ブランド情報が単なる「知識」として流通し、記号化してしまっている。さらに、トレンド志向が強く、若者中心主義で、おまけにファッションへのジャーナリズムが不在である=批評がないという、悲惨な状況が蔓延していて、ファッションが危機にある。

 これが、著者の今井啓子さんの主張です。

 体型や年齢の壁を常日頃、いやと言うほど味わっている私は、うん!うん!と力強く頷き、思い切り賛同しつつ読みました。大変、的を射た主張であり、的確な現状分析ではないでしょうか。

 ファッションは自分が自分らしくあるためにある。そして、それはすごく楽しいことのはず。

 こうした視点は、光野桃さんにも一貫してあるような気がします。

 最近読んだ光野さんの本は『おしゃれのベーシック』。久方ぶりに、光野節が戻ってきて、嬉しい。光野桃さんの本としては、こういうファッションへの愛情を美しい文章で綴っているものをこれからも時々でいいので、読みたいところ。(一時期、小説家を目指しておられたご当人は不本意かもしれませんけれども。)

 
 

おしゃれのベーシック

おしゃれのベーシック

 
 消費するものとしてではなく、ものと自分と人を大切にするものとして、服を着たいなあと強く思うこの頃。

 それはそうと、仕事用の服の購入に、頭を悩ませております…。

 はるる