エリアーデにはまりかけ

 今月から、東京−名古屋間を毎週往復の生活が始まり、仕事がかなりきつくなってきています。ちょっと苦しい。


 新幹線の中で、エリアーデの『世界宗教史』第一巻を読み、エリアーデにはまりそうになってしまいました。
 読んでいて、こんなに心躍る本はひさしぶりでした。特に、先史時代の宗教に関する記述は、非常に印象深いものがありました。
 人間が人間になったときから、祈りはあり、宗教的思考、感覚、体験はあり、人と宗教は本質的に切っても切れない関係性にあるのだということに、圧倒された感じ。
 
 かつて、ラスコー洞窟の壁画の映像を観たことがあり、その素晴らしさに崇高な思いすら抱いたことを思い出し、人間という存在に対して畏敬の念のようなものを覚えてしまいました。

 変かもしれませんが、謙遜になるというのか、へりくだりの気持ちすら湧いてきて、聖時間的読書体験でした。


 第二巻以降をすぐにでも読みたいところですが、そうは問屋(仕事)が卸さないので、ぐっと我慢。

 かつて、『聖と俗』を読んだときは読みづらかったため、私の頭の中にはエリアーデ=難しいという図式ができあがり、なかなかこの本も開くまでに時間を要したのですが、こんなに面白いならもっと早く読めばよかった!と後悔。

 もっとも、勢いづいて『エリアーデ著作集1 太陽と天空神』に手を出したら、やはり『聖と俗』系の難解さがあって、ううう、となってしまいましたが…。

世界宗教史〈1〉石器時代からエレウシスの密儀まで(上) (ちくま学芸文庫)

世界宗教史〈1〉石器時代からエレウシスの密儀まで(上) (ちくま学芸文庫)

 エリアーデに教えられる形で、『先史時代の宗教と芸術』も読みましたが、こちらは手堅すぎるほど手堅く、慎重な研究態度を貫いた学術書で、その価値はわかりましたが、あまり感銘は受けませんでした。 

 

先史時代の宗教と芸術 (1985年)

先史時代の宗教と芸術 (1985年)

 ついでに、『洞窟の壁画』にも目を通しました。(新幹線往復の間は、読むか寝るか以外、することがない。)

 これは、一般向けに読みやすく紀行文の体裁で書かれたもので、すいすい読めました。それでいて、アルタミラやラスコーなどの洞窟壁画について基本的な知識は身につくという、大変お得な一冊。
 といっても、出版されたのがかなり古い時代なので、内容は多少古めかしいかな。
当然、とっくに絶版。

洞窟の壁画―氷河時代人の遺跡をたずねて (1960年)

洞窟の壁画―氷河時代人の遺跡をたずねて (1960年)

※著者が岡元さんという日本人となっていますが、この方は翻訳者で、もとはドイツ語で書かれたものです。著者はH・キューン。

 これから、ちょっとシャーマニズムについて読んでみるつもりです。エリアーデが『シャーマニズム』を書いているはずですが、これはどうかな、読みにくいかな?

シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)

シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)

シャーマニズム 下 (ちくま学芸文庫)

シャーマニズム 下 (ちくま学芸文庫)

はるる