一段落

 これまで仕事の関係で東京にほぼ毎週通っていましたが、先日、ついに区切りがつきました。
 これで新幹線に毎週乗らなくて済むと思うと嬉しい。

 とはいえ、まだしばらくは毎月行くことになるかも…。


 『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』『文藝ガーリッシュ』『戦後日本を戦争してきた』などを読了。


日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)

 

 1960年代が、いかに日本に影響を与えたかを考える大事な示唆をいただくと同時に、「近代」の影響をどう考えるのかについて、(個人的には)大切なヒントをいただいた本。


 今、ゆっくり読んでいる庄野潤三氏の『紺野機業場』で語られている宗教生活や共同体の人間関係などは、大変化していく直前の日本の貴重な記録だなと思う。

紺野機業場 (講談社文芸文庫)

紺野機業場 (講談社文芸文庫)


文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。

文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。

 紹介されている小説をいろいろ読みたくなった。
 尾崎翠の小説を読んで見たいけど、ちょっとコワイな。(吉野朔美が山岸涼子のキレが入っていると評していたっけ。)

 

本を読む兄、読まぬ兄 [吉野朔実劇場]

本を読む兄、読まぬ兄 [吉野朔実劇場]

 吉野さんが尾崎翠について描いているのは、これ。

 
 「結婚なんてイヤだ、私はいまのままがいい、すきなだけ本を読んで暮らしたい」などと思う女の子が主人公の、野溝七生子の『山梔』にも惹かれる。

 それにしても、水村美苗の母親が小説を書いていたとは知りませんでした。びっくり。
 これは読んでみなければ。
 戦前の日本人の西洋への眼差しの何がしかが分かるような気がします。

 

高台にある家 (ハルキ文庫)

高台にある家 (ハルキ文庫)

 水村美苗の母が書いたという小説。

 水村美苗の『私小説』や『本格小説』で描かれた母親像が全くの虚像なのか、何がしか真実を含むのか、かなり事実そのままなのか、私には皆目判断できませんが、あの母親が書いたとなると読みたいと思ってしまいます。


 一番、私がぶっとんだ設定の小説は、三島由紀夫が書いた『夏子の冒険』。

 二十歳のお嬢さん・松浦夏子に交際を申し込む男は星の数ほどあれど、夏子を退屈させない男はひとりとしていません。エリートサラリーマンもダメ、大学の法学部の助手をしているインテリくんもダメ、製薬会社社長の御曹司もアーティスト志望の若者も、みんなみんなつまんない。青年たちに飽き飽きした夏子はとうとう朝食のテーブルで、〈あたくし修道院へ入る〉と宣言します。言い出したら聞かない子なのです、幼いときから。
 祖母と伯母と母につき添われて、夏子は寝台車で函館へと旅立ちます。目的地は天使園修道院。(『文藝ガーリッシュ』106頁)

 …トラピスチヌ修道会をなめたらあかんぜよ、お嬢さん。
 夏子さんはそもそもカトリックなのかいね?

 これは、全集で探して読んでみなければ。
 

 これについては、また次回にでも。

 はるる