蟲愛ずる孫
暑い〜。名古屋はこの間まで連日35度越えで、もうぐったりです。
ヨーロッパは涼しそうで、いいなあ。
太陽が恋しい在欧日本人の方々、いつでも立場を換わってさしあげますわよ。
さて、まだまだ仕事は気が抜けませんが、それでももうすぐ少し楽になる(はず)なので、それに期待している今日この頃。
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2巻のあとがきで、こうのさんはこの作品に自信がないと書いておられますが、私はとっても好きです、この話。
二巻で終わったのが信じられなくて、えっ、これが最終話なんて、そんな殺生な!もっともっと続きを読みたいのに!と思ったことでした。
淡々としていて地味な中に、柔らかで暖かいユーモアと絶妙の間があって、切れ味のいいオチがつく「笑い」がある。そして、登場人物の表情がとってもいい。画力のある人だなあ。
定年退職後に主夫として再スタートを切った参平さん、息子の詩郎、嫁の礼花さんとどの人も魅力的で大好きになりましたが、なんといっても最強の登場人物は孫娘の乃菜ちゃんでしょう!
彼女に出会うだけでも、この作品を読む価値がある。
無愛想で無口でちっとも可愛くなく、虫好きだけど、女の子らしく蝶々だけを愛でたりはせず、ナメクジを観察し続け、カマキリの卵を大事にし、丸虫をポケットに突っ込んでいる女の子。
その姿は、まさに現代版「蟲愛ずる姫君」。
しかも、彼女のあり方は、下手すると女の子らしくないといろいろと抑圧されそうなのに、彼女をとりまく身近な大人たちは決して彼女を「世間の常識」に当てはめて矯め直そうとはせず、乃菜ちゃんをありのままに受け入れて愛している。
私は、すっかりこの乃菜ちゃんと参平さん(「じいさん」「じじい」)のコンビに惚れてしまいました。なんだか乃菜ちゃんの成長を見守る親戚のおばちゃん気分。
なにせ、うちの甥っ子もまさに乃菜ちゃんなので。
彼は2歳頃から蟻の観察に余念なく、その後はトンボにはまり、小学校の中学年まではカマキリの卵を集めまくってひたすらカマキリを育て、その他私にはよく分からない虫の話をえんえんと語ってくれていた子でした。(将来の夢は昆虫学者。頑張って精進してくれ。)
今、小学6年生となった彼は水生昆虫に夢中で、タガメを飼育中。私が名古屋に引っ越したとき、「名古屋にはなんとかかんとかという珍しい水生昆虫がいるの。見てない?おばちゃん!」と興奮していたが、そんなのおばさんが知るわけないって。第一、その虫の名前も覚えられまへん。
また、『さんさん録』に脇役で登場する広島の「おじいちゃま」も凄いです。
「おじいちゃま」が広島風お好み焼きを作る姿に笑いましたわ。お好み焼きを作るということがあそこまで派手なパフォーマンスになるとは。(どこまでホントなんだか。)
ところで、礼花さんとご両親は広島の人なのでバリバリの広島弁で話すのが、これがまた、なんともいいです。
広島弁の会話を読んでいると、その土地の言葉としての力を感じる。言霊を宿す言葉といいますか。
それはこうのさんの最新作『この世界の片隅に』を読んでいても感じることです。
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いやあそれにしても、こうの作品世界では、呑気でマイペースでおっとりした素敵な魅力に満ちたお嫁さんはいつも広島出身なのね。
はるる