朝から開いている飲み屋

 猛暑というか酷暑というか、今からこんなで8月はどうなるのか。
 本日も35度超え。
 段々と身体がこの気温に慣れていっているのが、ちょっと怖い。


 仕事を家で片付けようと昨日、山ほどの資料とパソコンを持ち帰っていたくせに、今朝ミサに行った後、仕事用の書籍を買いに街に出たのが運のツキ。

 延々と書店を二つはしごして、半日本を見続けてしまい仕事にならず。
 この重い資料を携えて、明日空しく出勤するのか。…アホやがな(~_~;)。


 購入したのは殆ど仕事用書籍だったのですが、前々から探していた文庫本も見つけて買い、帰宅後にそれを一気読みしてしまいました。ホントに私、仕事する気があるのでしょうか。

 探していたのは上原隆さんが書かれた『雨にぬれても』。

 

雨にぬれても (幻冬舎アウトロー文庫)

雨にぬれても (幻冬舎アウトロー文庫)


 解説の渡辺一史さんが指摘されているように、これはフツウの人々を見事にフツウとして描ききると同時に、どの人も一人ひとり特別な存在であることをくっきりと浮かび上がらせることに成功した傑作「ルポルタージュ・コラム」です。

 最初の「墓まいり」が私の心のストライクゾーンにどんぴしゃりだったもので止められなくなり、一気読みと相成りました。

 『雨にぬれても』は上原隆さんの「ルポルタージュ・コラム」第三作目だということを知ってしまった私。
 いかん、これからは本屋で『友がみな我よりえらく見える日は』と『喜びは悲しみのあとに』を探してしまうな、きっと。

 

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

 

喜びは悲しみのあとに (幻冬舎アウトロー文庫)

喜びは悲しみのあとに (幻冬舎アウトロー文庫)


 私は、こういう普通の市井に生きる人々を取り上げたルポに弱い。
 したがって、橋口譲二さんの『それぞれの時』とか『17歳の軌跡』も何度も読み返しました。

 

 
 『それぞれの時』では、動物園の飼育係の人と郵便配達の人が特に記憶に残っています。
 あと、風俗嬢の方も。3千万円をただ貯めとくだけと言っていたあの女性は、今どうしてらっしゃるかと時々考える。

 

17歳の軌跡

17歳の軌跡

 

 最後に『雨にぬれても』を読んで発見したささやかなこと。

 それは、あの傑作マンガ『孤独のグルメ』の第4話「東京都北区赤羽の鰻丼」に出てくる、朝から開いている飲み屋が本当に赤羽にあると知ったことです。

 『雨にぬれても』の「とりあえずの幸せ」に出てくる「まるます家」がまさにそれでした。

 『孤独のグルメ』は全部、実在する店を下敷きにしているのだろうなとは思っていましたが、いやあ、まさかこの本でそれを確認しようとは。驚きました。

 

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

孤独のグルメ (扶桑社文庫)

 我が愛する『孤独のグルメ』。

 お店で注文するとき、いつも私の頭の中を、主人公井之頭五郎の「俺はできるだけ物おじせずハッキリという。注文を聞きかえされるのはやっかいだ」というせりふがよぎります。

 新しい話と鼎談を加えた新装版『孤独のグルメ』が気になる。でも、近所の本屋さんにはありませんでした。

 

孤独のグルメ 【新装版】

孤独のグルメ 【新装版】


 はるる