アラゴーの子午線

 ご無沙汰してます。

 ただ今、堀江敏幸の『子午線を求めて』を少しずつ読んでいます。


子午線を求めて (講談社文庫)

子午線を求めて (講談社文庫)


 フランスの船乗りや旅行者が基準としていたパリ子午線を記念するために、パリを縦断して、南北10キロほどの間に、見えない子午線に沿って、平均75メートル間隔で地面に埋められたアラゴーの名と南北の記号が刻まれた銅版135枚。

 その見えない子午線を示す見えるモニュメントを追って歩く話から堀江さんの文庫本は始まっていて、読んでいると堀江さんと一緒にパリをさまよっているような錯覚を覚えました。

 アラゴーは天文学者の名前で、パリ子午線を引いていくのに功績があった人物です。

 こういうのを読むと、パリに行って、アラゴーの円盤を探して歩くような酔狂なことをしたいなという気になるところが、単純な私。


 ところで、池澤夏樹の『異国の客』に収録されている「雪と春、ヨーロッパの記憶装置、三人の少年」にもアラゴーの円盤の話が出てきます。

異国の客

異国の客

 
 それによると、1999年から2000年にかけて、この記念碑(アラゴーの円盤)をフランス全土に伸ばすプランが実行されたのだそうで、それは幻の子午線上に樹を植えていくものであったらしい。「緑の子午線」と呼ばれたそうです。

 いいなあ、こういうの。こういう遊びというか、ゆとりが欲しい。

 もっとも、地面に埋められたアラゴー記念の銅版の多くは、既に盗まれてしまっている由。
 池澤さんも書いてますが、銅版を補充しないでそのままなのかしらね。


 そういえば、今日、堀江さんの新刊が新潮社から発売のはず。
 新著の題名は『未見坂』。

 

未見坂

未見坂

 ゆったりとした気分で、堀江さんの新刊を読めたらなあ。
 

 はるる