ヒトラーの「預言」
カトリック教会がナチスにどう抵抗したか、しなかったかは多少読んで知っていますが(といっても大したことはない)、プロテスタントのいわゆる「教会闘争」については、私は何も知らないと思い、とにかくナチス時代の教会について知ろうと図書館から借りて読み出したのが『ナチスと教会』(ズバリそのままの題名ですな)。
- 作者: 河島幸夫
- 出版社/メーカー: 創文社
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ヒトラーは一応カトリックでしたが、彼の究極の目標はキリスト教の根絶でした。
戦争はやがて終わるだろうが、余は、教会問題の解決を人生最大の課題であると考えている。(中略)余は信仰の命題には無頓着である。しかし坊主が地上の問題に気をかけるというようなことは、許せない。[教会の]組織的なウソは、国家こそが絶対的な主人であるという大前提に沿って、打ち破られねばならない。
(中略)
ちょうど、身体の一部が腐って自然に身体から離れ落ちるようになれば、それが一番よいのだ。要するに、教会の末路は、おしゃべりの坊主だけが説教壇に立ち、聴衆はばあさんたちだけ、という状態にならなければならない。健康な若者たちは、われわれの側にいるわけだ。(14頁)
うーむ、教会の末路。一部では、現実化してるかも…。
ヒトラーは反面教師的な預言者だね、こりゃ。
ヒトラーの言葉は、16世紀以降、主権国家が強くなって、様々な局面で教会と国家が対立したヨーロッパの歴史の文脈においてみると、国家側の究極の願望というか、国家が極限までいくとこうなるということかなと思わせる内容で、結構、私にはインパクトありました。
究極の世俗化というか。
フランス革命がキリスト教会を攻撃したことと併せて考えるとよさそう。
『戦争・ナチズム・教会』も読んで見ないといけないなあ。
- 作者: 河島幸夫
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- 発売日: 1993/10/15
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ナチスを支持した神学者を扱った『第三帝国と宗教』も読もうと思ってますが、時間あるのかなー。
- 作者: ロバート・P.エリクセン,Robert P. Ericksen,古賀敬太,久保田浩,木部尚志
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キリスト教は往々にして、キリスト教を個人的な魂の救いに狭く限定し、目の前にある大いに問題ある社会体制を容認して、それを神の名のもとに支える役回りを果たしてしまうという過ちに陥るように思うのですが、このキリスト教が持つ一面は、ナチスと教会の関係性や、黒人への人種隔離政策(アメリカ南部やアパルトヘイト)をめぐる教会の動きの中によく見えるように思います。
そういうことを、真剣に考えないといけないと、最近思っています。
ではでは。
はるる