エッセネ派はいなかった？

　TIME（アジア版）に小さく、イスラエルの死海文書の研究者（ユダヤ教神秘主義の大家）でヘブライ大学教授のRachel Elior氏（Rachel Elior - Wikipedia)が、900巻にのぼる死海文書を全部検討した結果、エッセネ派（エッセネ派 - Wikipedia)は存在しなかったという結論を出したことが報じられていました。

　そこでインターネットで検索してみると、本家（？）のTIMEで大きな記事になっていました。

Scholar Claims Dead Sea Scrolls 'Authors' Never Existed - TIME

　こちらはイスラエル系メディアの記事。

http://www.haaretz.com/hasen/spages/1071728.html

　エッセネ派は古代のユダヤ人歴史家のフラビウス・ヨセフスによる創作であり、死海文書の真の筆者は、紀元前2世紀にエルサレム神殿から姿を消したツァドク系統の祭司たちというのが、Eliorさんの説らしい。

　ノーマン・ゴルブ氏の『死海文書は誰が書いたか』は、文書が書かれた場所をめぐってのものだと思いますが、Elior説は、まさに書いたとされていた存在を否定したので、その衝撃度はかなり大きいのではないでしょうか。エッセネ派は存在したというのが当然の前提になっていたわけですから。

死海文書 - Wikipedia

死海文書は誰が書いたか?

　
　こんな本（↓）まであるのに、エッセネ派はいなかったという可能性があるわけなのかしら？
　もしそれが本当だったら、この本を書いた人の労苦は一体…。

The Teachings of the Essenes from Enoch to the Dead Sea Scrolls

　この説がどういう決着を迎えるのか、興味あるなあ。

Rachel Eliorさんの御著書。結構面白そう。

The Three Temples: On the Emergence of Jewish Mysticism (Littman Library of Jewish Civilization)

Jewish Mysticism: The Infinite Expression of Freedom (Littman Library of Jewish Civilization)

Dybbuks and Jewish Women in Social History, Mysticism and Folklore

The Mystical Origins of Hasidism (Littman Library of Jewish Civilization)

はるる