戦場でワルツを
クリスマスイブに「戦場でワルツを」を観に行きました。
イブに観に行く映画ではないというべきか、まさに観るにふさわしい映画というべきか。
これを観てレバノンの現代史についても読みたくなりました。『レバノンの歴史』とか覗いてみようかしら。
- 作者: 堀口松城
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2005/11/29
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原題はWaltz with Bashirで、1982年のイスラエル軍によるレバノン侵攻にはバシール・ジュマイエルの暗殺が絡んでいること、映画の中で監督の旧友がバシールのことを「色っぽい男だった」と述べていて、映画中に出てくるバシールのポスターもいい男風だったので、本物の顔が観たくなり(^_^;)、ついつい調べてしまうところが、我ながら情けないというか…。
↑これがバシール・ジュマイエルの顔。
大統領選挙前、インタビューに答える珍しい映像(らしい)。
この人は父親がファランヘ党の創設者のようで、自身はベイルートとアメリカで高等教育を受けた後、レバノン軍団を1976年に創設したみたいですね。
映画のパンフレットによると、卓越した軍事的手腕を発揮してカリスマ的人気があったそうで、若くて軍事に天才的人物というのは、ナポレオンのように崇拝の対象となるのでしょうなあ。大統領に選出された直後に爆殺された時、まだ35歳くらいだし。
しかし、私はこの人を殉教者として表象していることに、非常に引っかかるものを感じていますが。まさに誰の為に、称えるのか?です。
また、ファランヘ党はマロン派キリスト教徒の党で、それがアイデンティティになっているのか、むやみに十字架が使われていることにも非常に引っかかります。
イスラームとは違うことを明確に示すには十字架はぴったりのシンボルではありますが、十字架と力は相いれないのに、暴力や権力といった「力」と結びつけて使われているのが、私の心を重くする。
映画自体はとてもよかったです。個人的な戦場体験が普遍性を帯びて、迫ってくる。
(レバノンでは上映禁止になったようだが。)
戦争は少しもカッコいいものではなく、何一ついいことはない。戦争にあこがれるのは愚かだとつくづく思いました。
『ガザの悲劇は終わっていない』を読み、そこに浮かび上がる問題はイスラエルとパレスチナだけの問題ではないことを痛感。人間の中にある「罪」を感じずにはいられない。
ガザの悲劇は終わっていない―パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕 (岩波ブックレット)
- 作者: 土井敏邦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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