聴くべき言葉たち

 昨日は、急用で東京に日帰り出張。
 
 春休みに入っているのに新幹線はがらがらだし、いつもはまっすぐ歩けず苦労するほど混雑してる東京駅構内は人があまりおらず、すいすい歩けてしまうのが私としては不気味でした。


 以下は、私が読んで、いろいろ思うところがあった記事からの引用です。

http://www.stop-hamaoka.com/news/sunday.html より一部引用。

 興味を持たれた方は全文を読むことをお勧めします。

 判定会会長や地震予知連絡会会長を務められた地震学の権威、東大名誉教授の茂木清夫氏の言葉です。

原発の数や発電量でいえば、日本は米国、フランスに次いで世界第3位、続いてロシア、ドイツの順です。が、日本以外の国は地震のない安定した大陸に位置している。実際、過去100年間に起きたM7以上の震源の浅い、すなわち都市に大被害を与える地震の分布図と重ね合わせると、地震マークで埋め尽くされるほど不安定な地盤にありながら、なおかつこんなに原発が集中している国は世界で唯一、日本だけです。


しかも、よりによって巨大地震の発生が最も懸念されているところに原発を設置するなんて、世界の常識からすれば異常と言うほかありません。『米国でも地震は起きているだろう』という声もあるが、それは西部の話。ほとんどの原発は安定した中部、東部にあり、西部でも慎重に断層を避けている」


(中略)

「立地だけでなく、原発そのものの耐震性にも疑問があります。例えば、原子力施設の耐震設計審査指針は、上下方向の地震力を水平方向の2分の1として設計するよう求めていますが、阪神大震災などいくつもの地震で、震源に近い地表の直径数十センチもある石が宙に跳ね上がったことが確認されています。石が飛ぶということは上下方向に約1000ガル以上(1ガルは毎秒1センチの加速度で、阪神大震災では818ガルを観測)の加速度があったことを意味し、2分の1どころか、水平方向の地震力にも匹敵する大きな振動もありうることが分かってきた。


 しかし、初期の設計である1号機と2号機は、この上下方向の耐震性については十分に検討されていないはずです。このように、これまで測定器の不備などで見えなかった地震の性質が次々と明らかになっている。


 また、中部電力は大型実験装置で安全性を確認していると説明しますが、原発は精密装置の複合体であり、耐震性の評価は難しい。現代人には未知の地震を、現在とは微妙に異なる条件で再現しても、安全証明にはなりえないのです。
 日本では、大地震のたびに予想外に大きな被害が出て、耐震基準の見直しを迫られるという歴史をたどってきたことは、防災や地震に携わる者なら誰でも知っています。


 そもそも事態が想定通りに起きてくれるなら、そして日本の技術力が欧米諸国より優れているなら、阪神大震災で高速道路が倒れることも、95年の高速増殖炉もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故も、度重なるロケット打ち上げ失敗もなかったでしょう。

 
 まだしも道路や家屋なら耐震基準を見直して「次」に備えるのは意味があるが、原発震災に「次」はない。チェルノブイリのような事態が起きれば、日本の主要都市は高濃度の放射性物質に汚染され、取り返しがつかない。「想定外でした」では済まない以上、最悪のケースを前提に事を決するべきです。」


(中略)


東海地震の可能性を最初に指摘し、地震予知連で東海・首都圏を担当する強化地域部会長を務め、さらに東海地震判定会会長という職にもあったこの30年間、原発をあの場所に立地していいのか、そもそも東海地震とは何か――などについて中部電力や行政側から相談を受けたことはただの一度もありません。

 ようやく接触してきたのが、3年前の浜岡1号機・配管爆発事故の直後でした。新聞紙上で問題点を厳しく批判していた私のところに、部長級の社員ら2人がやってきて事故の報告をした。そのとき「なぜ一度も私の意見を求めなかったのか」と聞くと、「昔のことは分からないが、察するに茂木さんに会えば『あそこには原発はダメだ』と叱られるに決まっていたからではないか」と言う。

 こんな現実逃避の姿勢で何が「安全」ですか。あまりにも不まじめ、不勉強です。国の原発政策の有り様としてもおかしい。」

(中略)

「繰り返しますが、原発がM8級の巨大地震に直撃されたことは、世界的にも一度もない。M7級でさえもありません。そして、仮定を積み重ねたシミュレーション通りに地震が起きる保証もありはしないのです。
 大災害を確実に回避するためには、浜岡原発を即刻止めるしかありません。それが実現するまで、私は訴え続けますよ。」


 2011年3月23日中日新聞、第一面トップ記事「福島第一原発 『14メートル大津波想定せず』 設計担当者 東電の甘さ指摘」より抜粋

 福島第一原発の設計などを担当した東芝の元社員二人への取材から。

 (前略)

 「女川や柏崎刈羽などの原発でも非常用発電などは同じ弱点がある」と指摘する。
 
 事故後、男性(原子炉周りの残留熱を除く熱交換器や海水ポンプなどを設計:引用者注)は原子力発電所を抱える全事業所の社長に宛て「稼働中の原発を止めてほしい」とファックスを送った。

 「原発は人間が扱い切れるものではない。一人でも多くの人が気づいてほしい」

 福島原発のタービンの安全性を検証する作業にかかわった元東芝社員の男性(63)も「今回のような大津波やM9は当時創造もできなかった」と振り返った。

 70〜80年代に東芝に勤務。事故や地震原発のタービンが壊れて飛び、原子炉を直撃する事故などによる安全性を検証した。

 M9の地震や、航空機が落ちて原子炉を直撃する可能性も想定した。すると上司から「原発が数十年しか稼働しないのに千年に一度とか一万年に一度とか、そんな想定をしてどうする」と一笑に付された。

 (中略)

 国も東電も「原発は安全」と強調してきたが、絶対に安全なんてことはないと感じていた。

 「どんなことが起こる可能性があるのか情報を徹底公開し、原発が本当にいるのかどうか国民みんなで考えるべきだ」

 千年に一度の大地震が数十年しか稼働しない原発の稼働中に起こったのだから、人間の「想定」はあてになりませんね。

 一企業の「想定」に祖国の安全性を委ねて平気だった自分に対して慙愧の念ばかりです。

 原発に頼らず、自然エネルギーなどへの転換に対して、もっと自主的に動かねばと反省し、一歩でも自分のエゴから抜け出して勇気をもって動かねばと考えています。

 その勇気をいただけるよう神様に祈りつつ、おそるおそる自分のやれそうな行動に足を踏み出そうとしているこの頃です。

 はるる