アレクセイと泉

 やっとDVDで『アレクセイと泉』を観た。

 

アレクセイと泉 [DVD]

アレクセイと泉 [DVD]

 今は、「ナージャの村」とセットでDVDが再販されている模様。

 

 映画の説明は、以下で。

 http://movies.polepoletimes.jp/alexei/


 詩情豊かなと言いたくなる、静かで美しい村の生活。

 ロシア正教の司祭が来て、泉を聖別したり、水を汲んだバケツに十字架を浮かべ、その水を聖水として家中に掛けて回ったりする部分は、個人的に大変興味深く観ました。

 水道がないから、こんこんと湧き出る泉から水を汲んで家まで運ばねばならない。
 一回につき、天秤の両端に下げた二つのバケツ合わせて30キロの水を運ぶ。それを一日に何度も繰り返す。
 
 大半が自給自足で賄われ、人々は森から木を切り、丸太を斧で整え、泉の隣の洗濯場の木枠を組上げ、飼っているがちょう(かな?)や鶏を絞めて食べる。

 近くの村に異動する際には、馬車に乗る。

 生まれた時からこんな風に生活していないと、この生活は無理…。

 それでも、観ている間中、心が満たされ、自分の中が浄化されていくような映像が続きます。

 しかし、ここはチェルノブイリの事故の際に降った雨のせいで、放射能汚染がひどい、地図からは抹消されてしまった村。

 電気すらきていない、原発とは一切関係なく生活が営まれていたこの村が、見えない放射能に包まれ、55人の老人とたった一人の若者、アレクセイ以外の住人は皆、去っているという現実。

 こんなに美しいところなのに。見えない恐怖がうっすらとかぶさっているのかと思うと、何とも言えない。

 このドキュメンタリーが撮影されてから既に12年。

 御老人の多くはもうこの世におられないことでしょう。アレクセイは今、どうしているのでしょうか。

 

 
 

アレクセイと泉のはなし

アレクセイと泉のはなし

 監督さんは本来は写真家なので、写真集が出ているのですね、知らなかったです。

 

アレクセイと泉

アレクセイと泉


 はるる