うれしい、たのしい、ありがとう

 仕事で金曜の夜に飛行機で福岡へ。

 土曜日に仕事を終え、午後ボンバルディアで名古屋に舞い戻りました。(後ろのオジ様たちが、「あーあ、ボンバルディアだ。これだけは乗りたくなかったなあ。」「こんなに乗客が少なきゃ仕方ないよ〜」てなことを口こもごもに愚痴っておられました。お気持ち、大変よく分ります。)

 長らく耳の病気を患っていたため飛行機に乗るのは久しぶりでしたので、搭乗の際のチェックがバーコード読み取り式になっているのに驚きました。

 福岡の行き帰りに読んだのが『けい子ちゃんのゆかた』。

 先日亡くなられた庄野潤三氏の追悼の意をこめて。


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 繰り返される「うれしい」「よかった」「たのしい」「ありがとう」といった言葉に、心が動かされる。

 この方の生き方の底流には「喜ぶ」「感謝する」という静謐ながら強い意志によって貫かれた生き方の姿勢があって、表面の穏やかさの裏には、流れに逆らってじっとしている水鳥が水面下で足を動かし続けているような、そんな印象があります。

 庄野氏の本を読むたびに、日本人は幸福という感覚に弱いという辻邦生氏の言葉を思い出します。

 はるる