ドキュメンタリー『RFK』(PBS)その1

 主の御復活、おめでとうございます。

 私の部屋のまさにまん前に桜の木があり、今、満開です。御復活にふさわしい光景が窓の外に広がっています。


 別にイエスの御復活にあわせたわけではないのですが、すみません、RFKはアーリントンから復活し、まるで、刑事コロンボのごとく、立ち去ろうとしては、あの〜、もう一回だけ・・・と戻ってきてしまいました(^_^;)。

 アメリカからビデオ『RFK』が届いて聖週間中に観てしまいまして・・・。

American Experience: Rfk [VHS] [Import]

American Experience: Rfk [VHS] [Import]

 
 ビデオのごく一部をここで観ることができます(偶然、私が大変気に入った箇所の一つでした)。長さは約2分半です。


※メガネをかけている白人男性は、RFKの著者、ジャック・ニューフィールドです。ちなみに彼はユダヤ人です。

 希望に顔を輝かせた黒人たちがRFKに殺到している。
 こんな光景を私は、RFKの映像以外で、見たことがありません。予備選挙において、黒人票およびヒスパニック票のほぼ100%がケネディ票というすさまじい支持率だったのも納得。

 キング牧師は公にはどの候補者に対しても支持を表明しませんでしたが、個人的にはボビー支持者で、彼は偉大な大統領になると言っていたそうです。(In His Own Right  174p)

In His Own Right: The Political Odyssey of Senator Robert F. Kennedy (Columbia Studies in Contemporary American History)

In His Own Right: The Political Odyssey of Senator Robert F. Kennedy (Columbia Studies in Contemporary American History)

 
 今、ちょうど読んでいるIn His Own Rightの箇所が、RFKが黒人をはじめとするマイノリティグループ(メキシコ系、アジア系、ネイティブ・アメリカン、移民労働者、南部のプア・ホワイトおよび白人労働者階層)について何を考え、話し、政治的活動をしたかが記述されているところなのですが、これを読むと、なるほど、彼らがRFKに希望を託したのも無理はないと分りました。

 彼らの立場、視点から物事を見ている。
 
 しかも、年を追うごとに、視野が急速に拡大していっています。
 
 それとボビーは、黒人は黒人、メキシコ系はメキシコ系、あるいは南部の運動は南部限定で北部や西部の問題に無関心という風にバラバラに運動していた人々を統合して、地域や人種を超えた、「持たざる者」、弱くされている存在、搾取されている一つの階層として連合させ共闘する方向に動いていました。ああ、途中で殺されなければ・・・(T_T)


 RFKの、ほとんど南部にのみ焦点を当てている公民権運動の活動家たちは、北部や西部にある貧困問題と人種差別問題をないがしろにしているという発言は、キング牧師にすさまじく反響し、(直訳すると)「ケネディの言葉はキングを食べてしまった」そうです。(In His Own Right  165p)
 もう少しこの問題は調べないと、今はこれ以上はなんとも言えませんが。 

 これに関する私の好きなボビーの言葉。

 問題は階層(class)だ、肌の色じゃない。みんなが欲しいのは仕事と希望なんだ。RFK 8p

 ところで、上のビデオの中でナレーターが、RFKがいわゆる有色人種系アメリカ人について、

These are my people, these are my people.

と言っていたと語っていますが、この言葉だけでRFKの彼らへの思いが伝わってくるようで、単純な私は感動してしまいました。
 マイノリティへの彼の視線が慈しみに満ちているように感じるのは、単なるボビー崇拝者のひいき目?(病膏肓に入っているのは自覚しております。)

 こういうのを観ると、なぜ今でもボビーの最後の選挙戦があんなに人の心を惹きつけ、感情を動かすのかが分るような気がします。

 ビデオ『RFK』の中で非常に印象的だった、68年の選挙運動中のボビーに関する発言。

He touched people, he was speaking very directly to them. It was very heart to heart. He said he was doing it to save the soul of the country. And I believed him.
彼は人々に触れた。彼は人々にとても直接的に語っていた。それは真実、心を見せるものだった。彼は、自分はこの国の魂を救うためにこれをしているのだと言った。そして、私は彼を信じた。

 
 この国の魂を救うために、自らの心を注ぎだして語り、相手に触れる。

 この発言を聞いて、これは真に凄い人だと舌を巻いてしまった。

 それにしても、かつて神父になりたかった人だけあって、人々へのアプローチの仕方が霊的(スピリチュアル)だ。そして、ここに政治と信仰の幸せな結合を見る思いがしました。(この点については、ただ今考え中。)


 これは長くなるので、本日はこの辺で。次に続きます。(←既に抵抗を諦めている。もう、年間になってもいいや。)


 おまけ。
 前回書いた、RFKの演説の抜粋(20秒)は、このa tribute to Robert Kennedyビデオで聞くことができます。ただし、4分半ほどのビデオの最後の部分、ボビーの葬儀と埋葬の様子の部分で、ですが。(ついでですが、サントラCDでは、この演説はボビーの殺される直前の最後の演説からだと解説してありますが、間違っています。)

 BGMは映画『ボビー』の主題歌、Never Gonna Break My Faithです。


 このビデオで使用されている写真の中に、修道女たちに嬉しそうにボビーが挨拶しているのがありますが、ニューフィールドによれば、彼は神父に対して見方が厳しかった反面、修道女という存在がとても好きだったそうな。
 特に、貧しい人々のために働くシスターを見ると、彼の顔は輝いたそうです。
 そうか、頑張ろう、なんて思ってしまう私(^_^;)。何を頑張るんでしょうか、一体。

 はるる