テレプシコーラ

 休日出勤の振り替えで、明日まで数日間休み。
 最初はほっとした途端、どっと疲れが出て寝込んでました。

 いささか元気が回復したところで、久し振りに繁華街に出て、大きな本屋でうろうろと本を眺めたり、買ったりの至福の時を過ごしました。

 で、ぷっつんした私は『テレプシコーラ』第二部の1巻から4巻までまとめ買いして読んでしまいました(^_^;)。

 『ダ・ヴィンチ』で連載されていたのをいつも立ち読みしていたのです。
 が、ある時から、近所の本屋さんはこの雑誌に紐をかけて立ち読みできないようになってしまいました。(もしかして、私がいつも立ち読みだけして、決して買わなかったせい?)

 それで我慢できなくなりまして、とうとう単行本を購入してしまったという次第。

 


 もう連載は終了してしまっているので、5巻で終わりかあ。(ネットで調べて、どんな結末になったかは知りました。)
 もう六花ちゃんにもローラにも会えないのね、クスン。

 私は、六花がコリオグラファーとして、ローラがギエムばりの一流バレリーナとして活躍を始めたところから第三部が始まって、ローラは空美ちゃんで、その過去が暴かれて大スキャンダルになって没落するといった暗い話になるのではと、勝手に想像していたのですけど。(山岸涼子ならそこまで描きそうだと思って。)

 でも結末を知り、今回の番外編を読んで(繁華街に出たとき、立ち読みしました)、そうか、山岸さんが描きたかったのは、バレエに命をかける少女たちがプロへの第一歩を踏み出すまでの話だったのだなと思いました。

 そして、(ローラ=空美説が正しいと仮定して)ローラは過去を完全に葬って、これからはその天賦の才能を存分に開花させて、(個人的な、たとえば恋愛とか人間関係においてはともかく)バレリーナとしては幸せな人生を新たに歩み始めるのだという、ハッピーエンドなのだと思いました。 

 それならああいう形で終了でよいわけだなあ、と私は納得です。

 ローラの過去が完全に断ち切られているのであれば、読者である私たちも知らなくてよいわけですから。
 しかし、あんなに人付き合い悪くて、今後大丈夫なのか、ローラ。それだけがちょっと心配。

 私にとって『テレプシコーラ』の真の主人公は、なんといっても空美ちゃんであって、六花ちゃんではなかったので、彼女がローラだったら本当に嬉しい。

 (私はコリオグラファーという存在がとても好きで、頂点に立つ天才バレリーナが主人公でないバレエ漫画があればいいのにと思っていた者なので、振付家となっていくであろう六花ちゃんの話は嬉しかったけど。

 ところで、彼女が振付家として大成した後の話を、短編で描いていただけないものでしょうか。もちろん、踊り手はローラで。振付が完成するまでの話などスリリングだと思う。
 以前、シルヴィ・ギエムを扱ったドキュメンタリー中で、ある作品の振付が完成するまでを見て、とてもワクワクしました。ああいう話を山岸先生、描いて下さらないかなあ。)

 私の記憶が正しければ(第一部は立ち読みしただけなもので)、『テレプシコーラ』第一部の連載の最初の方で、いつもいじめられていたり、ばかにされたりの空美ちゃんが、お掃除当番として黒板消しをはたくシーンにおける彼女の心理は、かつて空美ちゃんの学校における境遇とかなり似た状況を体験していた私には、「そうそう!その気持ち分かるっ!そう思うのよね!!山岸先生、さすが、わかってらっしゃる!」と叫びたくなるほどリアルで、それ以来、彼女は他人と思えず、ずっと気にしてきました。
 
 それなのに彼女は途中から全然出てこなくなってしまい、毎回立ち読みしながら、千花ちゃんや六花ちゃんの話はいいから、空美ちゃんを出せー!とやきもきしておりました。

 そうしましたら、いきなり第二部でローラが登場。というわけで、私の中では、完全にローラ=空美です。

 顔は…、空美ちゃんは醜いあひるの子だったのだということで。

 当時は、極貧生活で栄養状態も悪かったし、ある種の虐待も受けていたから、ああいうお顔だったのでありましょう。(たまーにローラの顔つきが空美ちゃんを思わせるように描いてあると思うのは、私の目の錯覚かなあ。)

 それにしても、ローラの顔は厩戸皇子を連想させますね。性格も厩戸さんっぽいし。

 すると、六花ちゃんは毛人だな。
 
 この二人のの関係性は、厩戸と毛人の関係性と似た構造ですしね。
 厩戸皇子のあの不気味な能力は毛人で補完されるという構造でしたからねー。

 すごい踊りの才能はあれど振付能力に劣るローラは、抜群の振付能力を持つ六花ちゃんのおかげで、その才能をいかんなく発揮するという関係なわけだ。(と一人で勝手に納得。)

 とにかく、私は5巻を楽しみに待ちます。


 あ、ついでに吉野朔美の『神様は本を読まない』も読みました。
 そこに、山岸涼子のある短編を探して延々と彼女の作品を読んでしまうという話が描いてあって、なんとなくシンクロニシティを感じましたわ。

 

神様は本を読まない

神様は本を読まない

 吉野さんが探している短編、あー私も昔読んだなと思ったのですが、題名が吉野さん同様思い出せず。

 実話のマリー・ベル事件を下敷きにした話ではなかったかと思うのですけど。

 今回は、読んでない人には全然わからない、完全に独り言でしたね。それに
 マンガの話で終始してしまった。ま、いいか。

 はるる