ご無沙汰してます

 個人的に非常に辛く、厳しかった2015年が過ぎ、2016年を迎えました。(いや、日本も世界も大変な年でしたが。)

 昨年は思いがけず自分が自死遺族となり、精神的にも肉体的にも大変な時を通りました。現在は、少しずつ回復していっています。

 その間に、本当にいろんな人びとの助けやお祈りをいただいたし、これまで自分が考えたこともなかった「自死遺族」という人々について祈るようにもなりました。

 遺体発見後に急性PTSDにもなり、大変なショック期の中で、やはり私は愛する本にも大いに助けられました。

 一番の支えは聖書でしたが、その次に大きな助けになったのは、アイリス・ボルトン(前島常郎訳)『ミッチ 隠れた贈り物』(エムティーエム 2013年)でした。

 その中の一節は今も支えになっています。

 著者のアイリスは、自分の息子が自ら命を絶ち、その葬儀の前に著者と親しい関係にあった精神科医(アイリスの職業はカウンセラーだった)から、二つのことを言われます。一つ目はまだ受け入れられましたが、二つ目はその時、彼女も、彼女の夫も、到底受け入れられるものではない内容でした。

 

 二番目は、少々受け取りがたく、信じられないかもしれませんが、あえて申します。
 息子さんの死には、贈りものが隠されています。今はまだ信じがたいかもしれませんが、嘘は言いません。もし探すお気持ちがあるならば、必ずやおふたりのものになります。
 他人の目には見えないでしょう。それでもこの贈りものは本物で貴重なものです。おふたりがその気になりさえすれば、きっと見つかります。(30p)

“The second thing is more difficult to grasp,” he continued carefully. “You have no reason as yet to believe what I am going to tell you, but I ask you to hear me with an understanding heart. There is a gift for you in your son’s death. You may not believe it at this bitter moment, but it is authentic and it can be yours if you are willing to search for it. To other eyes it may remain hidden. The gift is real and precious and you can find it if you choose.”


 私にとって、この言葉は非常に支えになりました。
 あの死に贈りものがあるという考えは、もちろんなかなか受け入れ難く、苦しいものでしたが、それでも、私にとって、この言葉は本当に闇の中の光でした。

 
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 翻訳された方も、ご自身の娘さんを自死で喪われたとのこと。

 この本を訳していただいたことに、本当に感謝しています。

 アイリス・ボルトンさんはまだご健在で、講演活動などされているようです。(以下のは2013年のものですが)。

 


 にしても、新年に入って私が読了した本第一号が、いきなり、『北朝鮮14号管理所からの脱出』というのが、なんともはや。
(数年前にフランスに滞在していた際に、この本の著者と本についての記事を目にし、それをなんとかフランス語で解読して、この本読んでみたいなあと、思った記憶があったので、思わず書店で見たとき、買ってしまったのであった。)
 
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 こういう事実を知って何もしないのは、知らないのと同じだなあと思いながら、何をどうしたらいいか考えあぐねています。
 どっちみち、今はエネルギーもなく、どうにもならないのですが…。

 もっとも、年末に読んだのは『おしゃれと人生』。
 着る服がないと悩める、多くの中年女性の一員として、読んでみるかと読んでみました。
 

 相変わらず、無茶苦茶な、一貫性のない読書であります。

 本に助けられたといえば、昨年後半は、梨木香歩の本にも支えられました。梨木さんにはまりまくって、ひたすら彼女の本を読み漁り、ほぼ全部読破したほど。

 非常に影響を受けたのは、『裏庭』『f植物園の巣穴』『からくりからくさ』『僕は、そして僕たちはどう生きるか』かな。
 エッセイ集からも影響を受けましたが。

 あと『家守綺譚』のシリーズも好きですね。このシリーズ、もっと描いて下さらないかしら。

 続編の『冬虫夏草』も面白かったですが、スピンオフ作品のような『村田エフェンディ滞土録』の世界の広がり方の方が、個人的にはしっくりきました。
 パリ襲撃事件の後、これを読み返す意味があるなあと思いました。

 

 あ、『りかさん』も好きです。りかさんも好きですが、あのおばあさんが特に好き(と、読んだ人にしか分からないことを書く)。

 

 
 それと、『海うそ』を読んだときは、これは近代日本における宗教と精神の問題を扱っていてすごいという印象を受けました。
 
 

 はるる