ノーリッジのジュリアンその1
お久し振りでございます。
天高く馬肥ゆる秋とやら、しかし私は過労で引っくり返ってました。世の政治家や芸能人ならなんてことないであろう、土日なしのちょっと過密スケジュールは、体力のない私には厳しかったらしく、日曜の夜から、ばったり。
私が過労で倒れる時、それはメニエール氏病のような症状が出る時です。というわけで、目を閉じていても、頭の中がぐるぐる回る、めまいで立てない、吐くから何も食べられない、苦しいよ〜という症状に悩まされました。(でも、仕事は休めないので、やりましたよ。さあ、仕事!となると、いきなりしゃんとするから、人間って不思議。)
今は、とりあえず大丈夫ですけど、まだまだ本調子ではないので、ブログもぼちぼちと更新しようかな、と。明日から始まる三連休も研修会で休めないですし、体力を温存しておかねば。
さて、気を取り直して、前回予告した、ジュリアンです。(寝込んだ間に、「何を書きたかったんだっけ、私」状態になってますが^^;)
ジュリアンは14世紀イギリスに生きた隠修女(anchoress)でした。この隠修女というのは、今ではない形態の修道生活の一種で、彼女たちは町や村にある教会にくっついて建てられた隠修室に「封印」されて一生を過ごしました。
部屋は教会にくっついているので、教会側に開いた窓からミサにあずかり、もう一つ道路の側に開いた窓を通して訪れる人々の悩みに耳を傾け、霊的な助言を与えることが出来ました。
言うなれば、彼女たちはその部屋に「埋葬」されたわけで、死ぬまでその場に留まらねば破門されることになっていました。ただし、教会の庭くらいは歩いてよいと言う許可が出ることが多かったらしいです。
この生き方は中世ヨーロッパでのみ栄えたようで、特にイギリスで盛んだったと何かで読んだ記憶があります。
話は横道にそれますが、子供時代のビンゲンのヒルデガルドを霊的に指導した人物に「麗しのユッタ」という人がいて、この人がこの隠修女であり、それがどういう生活をする人だったかについて、確か『ビンゲンのヒルデガルトの世界』に書いてありました。
10年ほど前にその本を読んだ時、私にとって、隠修女の生活はかなり印象的であったらしく、ヒルデガルトのことより、ユッタについて今でも覚えているくらいです。
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さて、ジュリアンは1373年5月に啓示を受け、それを英語で書き留めました。分かっている限り、彼女は英語で本を書いた最初の女性です。(マージェリー・ケンプは文字が書けず、自伝は口述されたものでした。)
ジュリアンは啓示を受けた直後に、Showings(ショートテキスト)を書き、20年後に再び同じ本を書きました。ただし、二度目の時はたくさん加筆をし、二倍以上長いテキストになりました。こちらはロング・テキストと呼ばれてます。
残念ながら、このロング・テキストの日本語訳はありません。ショート・テキストの翻訳がやっと数年前に出たばかりです。それは『中世思想原典集成 女性の神秘家』に収められています。
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英語では両方を収めたものが何種類も出回っていますが、私が持っているのは女子パウロ会が出したものです。
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このロング・テキストが大変、興味深いのです。ここに彼女は、イエスは母であると書き、(英米では)有名な
「罪は必要である、しかし、全てはよくなる、全てはよくなる、あらゆる種類のことがよくなる」(Sin is necessary, but all shall be well,and all shall be well, and every kind of thing shall be well.)
というイエスから受けた言葉を書いています。
故遠藤周作氏は日本のキリスト教のために母的なものを強調せよということを主張されてましたが、どうして神の母性について多く語ったジュリアンについて何も言及されなかったのか不思議です。ジュリアンがイギリスの神秘家だったので、フランスで勉学された遠藤氏はご存知なかったのかしら?
というところで、神の母性や母なるイエスについては、くたびれたので、また次回!
はるる