アニマの読書
取込みは続くよ、どこまでも♪ なのではありますが、数日前にローマから新たな指令(なんのこっちゃ)がメールで来たのと、昨日上司から「あまり無理して倒れないように、ほどほどにのんびりやりなさい、体が第一だよ」という慈愛あふれるまなざしと共に心温まるお言葉をいただき、急に肩の力が抜けました。
今までずっとうつむいていたのに、ふっと顔を上げてみたら、そこには美しい青空が広がっていたという気分。
はあ〜。深呼吸。(抱えている仕事は終わってないけど。)
紀伊国屋書店のサイトに四方田さんが選んだ50冊の書名とともに、四方田さんの「読むことのアニマのための50冊」という文章が掲載されていました。
そこには、
本を読むさいにもっとも悪い読み方とは、勉強のために、仕事のために読むことである。レポートとか論文を書くために、情報を手に入れるために、目的と効率、それに読み終わる時間などを計算に入れながら、何かを調べるために、キチンと机に坐って読むことである。科学史家のバシュラールはそれを、アニムスの読書と呼んでいた。
(中略)
本を読むさいにもっとも理想的な読み方とは、勉強とも仕事とも無関係に読むことである。ただ好きな本だけを気の向くままに読み、途中で飽きたら放り出し、またその気になったら手に取り直すといった、気ままな戯れのうちに読むことである。雨が降って外に出たくない日、本棚から雑然と何冊もの書物を取り出して、ベッドのなかで読み続ける。読んでいるうちに、あれはこうだろうとか、これはどうだったっけなといった考えが浮んできて、思いもよらぬアイデアに結実することがある。魂は気ままに遊んでいるように見えて、実は見えないところで探求を続けていたのだ。
先に引いたバシュラールにいわせると、これはアニマの読書ということになる。アニムスの読書は結局のところ、少ししか読まない。アニマの読書はたくさん読む。貪るように全世界を読みつくそうとする。アニマの読書は、子供時代に戻って、ひとたび見失われた道を辿るかのようにして読むことだ。
とあって、ああ〜、最近の私はアニムスの読書がほとんどだよ〜!と心の叫びをあげてしまいました。
ただ今現在、私にとってのアニマの読書時間はRFK関連本を寝る前にちょびちょびと読む10分間だけかも。
今読んでいるのは、Robert Kennedy: His Life。
世評が高いだけあって、本当に素晴らしい出来。私の中では、ニューフィールド本に匹敵しています。
ニューフィールドのような熱い友情が底流にあるわけではなく、個人的にRFKを知らない一人のジャーナリストとして、RFKの性格から活動、政策まで、その欠点も長所も突き放して冷静に判断して書いてあるんですが、同時に著者のボビーへの眼差しには穏やかな暖かさと静かな共感があって、読んでいて気持ちがいい。
熱狂的に褒め称えるのでもなく、中傷と悪意に満ちた書き方をしているわけでもないという、このバランスが素晴らしい。
ボビー崇拝者で今までさんざんこのブログで彼について熱狂的に褒め称えることばかり書いてきたくせに何ですが、私は悪意ある視線で書かれているRFK本はもちろんのこと、熱狂的なファン感情むきだしで書かれた本というのも苦手で、そういう本を読むと、いや、ボビーはもっといろいろまずいことしてるんだから、そこは認めないとなどと思ってしまうという、変なヤツなのでした。
それにしても、昔、ちょこっと読んだときは、この本あまりピンとこなかったのは何故なのでしょうか?我ながら解せません。
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この表紙も悪くはないのですが、オーディオブック(カセット)の表紙で本も出してほしかったなあ。この写真が私は大好きなので。
- 作者: Evan Thomas,Ray Porter
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ところで、もう少しで読み終わるはずの In His Own Right は、またまたストップ中。面白くないわけではないのですが、RFKの人間性を扱うというより政治家としての活動に焦点があたっているせいか、どうも乗り切れないのですねえ。もう少しだから、そのうち読み終わると思いますけど。
意味もなく、上の表紙で使用されていた私のお気に入りのボビーの写真を出してしまう。
これは1964年、まだJFKの死の打撃から全く立ち直れていない頃のものです。「痛みそのものだった」といわれている頃でしょうか。彼は一年以上も喪に服していて、その間ずっとネクタイは黒でした。黒いネクタイのボビーの写真は、1964年のものと思えば間違いないのでは。
うーむ、結局RFK話になっている。何やっているんだか。
でもねー、アニムスの読書で山ほど読んでいる本についてはあまり語りたくない気分なのです。
ところで、四方田さんのエッセイを読んだら、バシュラールが気になってしまいました。
彼の本を読んで見たいな。どーせ、私には理解できないだろうけど(^_^;)。
『夢みる権利』とか『空間の詩学』なんて、題名がすてき。
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はるる