種々の言葉
映画『沈黙を破る』を観に行きました。
必見の映画。
多くのイスラエル人は「セキュリティー・セキュリティー」と口を揃えて言います。自分たちの国を守らなけれなならない、と。
しかしこの国が、まもなくまともな国でなくなってしまうことに気づいてはいない。私たち皆の“内面”が死滅しつつあるのです。社会の深いところが死んでしまいつつあるのです。それはここイスラエルで社会と国の全体に広がっています。
(NGO「沈黙を破る」代表 ユダ・シャウール)
加害者側のもと将校・兵士の語ることを聴きながら、『見ることの塩』で四方田さんが指摘したことは正かったなと思いました。
国民が若い時に徴兵されて兵役につくことが義務付けられている国の、全員が体験するその体験ゆえに、イスラエル社会は暴力的で荒々しい社会となっているという指摘。(記憶で書いているので、多少違うかも。)
http://www.cine.co.jp/php/detail.php?siglo_info_seq=112
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そのあと、DVDの『ガーダ』を視聴。またもや衝撃。
オリーブを切り倒す話で、加害者側と被害者側の視点が『沈黙を破る』とぴったり合わせ鏡のように呼応していた。
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新聞記事に引用されていた長田弘さんの詩集『世界はうつくしいと』からの抜粋。
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なくてはならないものは、けっして
所有することのできないものだけなのだと。
読むことは、本にのこされた
沈黙を聴くことである。無闇なことばは、人を幸福にしない。
雑誌『SIGHT』2009年SUMMERより。(特集「さよなら自民党 一足先に終わりを惜しむ!」)
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結局、世の中をよくしていこおうと思うなら、住民が、かなりの時間とお金を政治に注ぎ込まないとダメなんですよ。もし自分が直接やるのが嫌だったら、そういう人を応援するとかですね。少なくともお金を出さないと。
(中略)
やる気のある、企業から金をもらわない、建設業と一線を画している人たちは、ほんとにみんな困っているんですよ。お金もくれないで、やっぱり選挙ってできないんですね。
私は500円カンパっていうのを頼んだこともあったんですけども、主婦の方何人かから、「500円がどれだけ貴重なお金かわかってんの!?」って言われましてねえ(笑)。へこみましたねえ…
(中略)
結局、自分がお金を出したり、時間を割いたりしないで、世の中がよくなることっていうのはないですよ。天からいい政治家が降ってきて、自分のリスクでいいことやってくれないかなあ、なんていうことは、あり得ないですからね。
(前佐賀資市長・木下敏之)
この構図が、医療費問題でも繰り返されている。
日本の医療がガタガタになった遠因の一つは、1980年代の「医療費亡国論」からきた、国家による徹底的な医療費抑制。しかし、もう理由はもう一つある、と小松秀樹氏(虎の門病院泌尿器科部長)は指摘する。
それともうひとつは、やっぱり、国民が負担を嫌がってるというのがあります。日本の租税負担率って、最新のデータでみると、OECD加盟国の中で下から4番目なんですが。負担なしでやれっていうのは無理だと思うんですね。
(中略)
高齢化や医療の進歩があるので、医療費の総額も対GDP比も増えてはいます。しかし、世界的に見ると、相対的にひどく少なくなった。先進7カ国の中では最低です。だったら、サービスを下げないといけないんですよね。
(インタビュアー:ところが、医療は絶対安全、安心、ミスったら訴えるというのがこの国の考え方なんで、そうなるとサービスを上げざるを得ないっていう)
そうですね。(中略)
(インタビュアー:そもそもなんで我々日本人は、そういうふうに、医療費は安いもんだし、医療は絶対治るもんだし、と思い込んでしまったんでしょうか。)
メディアがそういう報道をしたのもある。メディアってそういうのが好きなんですよね。事実に基づかないで、「こうあるべきだろう」と言うのが。お金はださないが、スーパーマンみたいな人があらゆることをひょいとやってくれるのがすごく好き。水戸黄門症候群です(笑)。
(中略)
※90%の公立病院の経営が崖っぷちだという具体的な話があった後。
民営化したってうまくいかない。だから、赤字の状況はそのままにしておいて、病院に対する要求を、アクティヴィティーを下げてしまうか、それとも病院に対してお金を出すか、どっちかしかないと思うんですよね。
(インタビュアー:国にお金を出させる方法ってないんですかね?)
ある議員と、この前話してて、「そのために税金を上げるってことを、なんでやんないの?」って言ったら、税金の話するとみんな即座にアレルギー起こすって(笑)。要するに、お金は天から降ってくるもので、お願いしたら出してくれるものという感じなんじゃないですか?
税金を払うということの意味を、私たちは(と、十把一絡げにしていいかどうか分らんが)知らなきゃいけないし、自分も痛みを担う覚悟がないと変化は来ないということを肝に銘じておかねばならない。
税金を払って初めて、公に向かって発言する権利があり、一人前の市民になるということの意味を、私は本当には理解していない。
イギリス史に関して読んでいた時、税金を支払う権利という概念が確か出てきて、へーっと思ったことが、昔ありましたが、この特集を読みながら、そのことを考えていました。
はるる