ドイツの原発政策

 いろんなことで日本はドイツと比較されますが、原発をめぐる対応でもドイツは日本とは異なる反応を示していて、なぜこんなに異なるのか、といささか羨ましい思いがします。

 再生可能エネルギーへの移行の急激さや、ドラスティックに脱原子力政策を推進する姿勢を見ていると、何か物事の考え方の根本が、我彼の間で非常に違うのだということを痛感します。

「ドイツにおける再生可能エネルギーの実態」
http://www.originalest.com/news.php?id=00046

 日経オンラインで連載されている「熊谷徹のヨーロッパ通信」で、繰り返しドイツの脱原発の動きが掲載されていて、参考になります。

 それを読むと、

 4月8日には、驚くべきことが起きた。電力会社の団体である「ドイツ・エネルギー水道事業連合会(BDEW)」が緊急理事会を開いた直後に「電力の安定供給などの条件が満たされれば、2020年までに原子力の完全廃止に合意する」と発表したのだ。BDEWは、日本の電気事業者連合会に相当する団体。性急な脱原子力には批判的であり、原子力をエネルギー・
ミックスに残すことの重要性を強調してきた。そのBDEWが、従来の立場をあっさりと捨て自ら原発廃止の期限を設定したのである。この国で「意識革命」が進行していることを如実に示す出来事だ。(日経オンライン2011年5月20日「脱原子力政策を加速させるドイツ 「全廃」へと挙国一致でまっしぐら」より)

…当事国の日本が本当は、こういう動きをしないといけないのでは。

 半導体などデリケートな部品を作るメーカーの中には、自家発電装置の発電能力を超えるような長時間の停電が起こると、大きな損害を受ける会社もある。機械製造業を柱とするこの国の経済にとって、安定した電力供給は極めて重要である。ドイツは11年後に原子力発電を完全にやめてしまって、本当に大丈夫なのだろうか。メルケル政権は今回の閣議決定
を、次のような胸算用に基づいて行なっている。

(中略)


 ドイツの多くの地域では、冬の気温が零下10度まで下がることも珍しくない。このため電力への需要が最も高まるのは、日本とは対照的に冬である。送電事業者は、「現在のままでは、冬季に大消費地であるドイツ南部で電力の安定供給を保証することはできない」と警告している。送電網を監視する連邦ネットワーク庁も、今年と来年の冬に電力不足が生じる危険があると指摘。このためメルケル政権は、1基の原子炉を2013年の春まで予備発電能力(コールド・リザーブ)として残し、電力不足が予想される時に再稼動する方針(ただし野党からは原発をバックアップとして温存することに批判が出ているので、原発ではなく石炭火力や天然ガス発電所が使われる可能性もある)。


 長期的にこの国は、原子力発電がまかなってきた20GWをどのように代替するのか。


政府の説明によると、2020年までに熱電併給型発電所(12GW)、バイオマス(2.5GW)などによって、発電能力を合わせて21.5GW増やせる見込み。また電力会社の団体である連邦エネルギー・水道連合会(BDEW)は、風力、天然ガス、石炭、褐炭、バイオマス、ごみ焼却、水力などによる発電所を50基新しく建設することによって、2019年までに追加発電能力を約30GW確保するという見通しを発表している。これらのシナリオが実現すれば、原子力発電を廃止してもピーク時の電力需要をカバーできるというわけだ。

(中略)

 メルケル政権は、脱原子力をスピードアップするために、再生可能エネルギーの拡大も加速する方針だ。現在再生可能エネルギーが発電量に占める比率は17%だが、2035年にはこの比率を、少なくとも35%に増やす。2050年には発電量の80%を再生可能エネルギーでカバーすることをめざしている。政府は特に洋上風力、水力、地熱発電に対する助成金を拡充する方針を明らかにしており、今後電力消費者の負担が増加することは確実である。今年5月に明らかになった連邦環境省の試算によると、2012年から2030年までに再生可能エネルギーの拡大に注ぎ込まれる助成金の総額は、1750億ユーロ(19兆2500億円)に達する見通しである。アルミニウムや鉄鋼、化学などエネルギーを大量に消費する業種にとっては頭の痛い問題だ。

(中略)

 ドイツの議論では、コストが常に視野の中に置かれている。ARDが今年6月に行なった世論調査では、「脱原子力のためには、電力料金が高くなることを受け入れる」と答えた人が回答者の65%に達している。この国では産業界を除けば、脱原発再生可能エネルギーの拡大で電気代が上昇することに目くじらを立てる人は少ないようだ。 (日経オンライン2011年7月8日「「脱原子力のためなら電気代は高くなってもいい」と言うドイツ人 政府が2022年原発廃止を決定した背景」)

 そして、8月に連載された「ストレステストの結果は「安全性に問題あり」ではなかった「リスク分析を技術者だけに任せてはいけない」と判断したドイツ人」(全3回)の内容は、色々と考えるべき内容を含んでいると思いました。

 また後日、書く暇があったら書きたいと思います。

 福島の事故の当事国の日本が本当なら、ドイツのような反応をするのではないか?と思う。

 こういう記事を読んでいると、この国の行く末が恐ろしい。

 この国と原発:第3部・過小評価体質/4 耐用年数「限りなく」

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/konokunitogenpatsu/news/20111101ddm002040111000c.html

 とここで、ぐちぐち言っていても仕方ないので、意志表示として12月10日のデモに参加しようと思っています。
 たまたま所用で東京に行っているので。

 
がんばろう!さようなら原発1000万署名
日時:12月10日(土)13:30〜(40分程度を予定)
会場:東京・日比谷野外音楽堂

http://sayonara-nukes.org/

 はるる