憲法記念日

 最近、何かと話題の憲法でありますが、本日、日比谷公会堂で5・3憲法集会というのをやっていたので、参加してみました。
 で、呑気に公会堂に出かけていって、日比谷公園の入り口でおや〜と思ったのは、右翼の街宣車が、たくさん並んで、いろいろアジっている(この言い方、死語かしら?)のを目にしたことです。この集会に日本共産党委員長社会民主党党首などが参加しているためか、参加者の中に組合系の方々が多かったせいか、憲法改悪反対ということを主張しているからなのか、とにかく、デモ関係でこんな風景を見たのは初めてで、私は目を丸くしてしまいました。(世間知らず…。)

 公会堂の中は、かろうじてまだ座る場所があり、屋外でスクリーンを通して参加とはならずに済みました。いろんな方の発言やスピーチを聴いて、学ぶことが多々ありましたが、私が最も感銘を受けたのは、最初の方で挨拶をなさった三木睦子さんの心の底からほとばしり出るような言葉(「どうか、どうか、この憲法を守ってください、私はもう88歳です、後は皆様に託します」といったこと)と、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の方(八尋さんという方でした)が語ったことでした。 八尋さんは大学を卒業したばかりの20代の女性でしたが、九州の人で、地元の若者の就職の難しさと、それ故に就職先として自衛隊を選ばざるをえないことを語り、正直、私はぎょっとしました。東京にいると、そういう状況はちょっと思い浮かばない。
 それにしても、出席者は殆ど、私のような中年から熟年、老年ばっかりで、10代、20代が全くといってよいほどいないのには、驚きました。右翼の方には若い人がいるのになー。八尋さんが、私たち若者は、フリーターが多くて組合もないし、ばらばらなんです、つながっていけないんです、もう、みなさんのような年配の方々に頼るしかないんです、皆さんが亡くなってしまう前に、今の状況を食い止めなかったら、もう私たちには出来ないんですという主旨のことを、叫ぶように必死になって訴えているのを聞いて、苦笑すると同時に、悲しいというのか怖いというのか、なんともいえない気分になってしまいました。この逆転現象は何なんだ。若者は、社会的弱者になりつつあるのでしょうか?
 シカゴにいた時、私は何度かイラク攻撃反対の集会やデモに参加したことがあります。が、その時、参加者の多くは若者で、もっとわいわいとお祭り騒ぎで、雰囲気もリラックスしていて、日常の延長線上に自然にデモがあるなあと感じたことを思い出し、改めてその違いの大きさに気付きました。
 違いといえば、集会の後、右翼の妨害にもめげず(?)パレード(といってましたが、要はデモ)をしていて、通行人や通りすぎる車との間にコミュニケーションがないことにも、気がつきました。シカゴで体験したデモでは、私たちの主張に賛同の車は、意思表示としてクラクションを鳴らしながら、通りすぎ、道行く人も、賛成の人たちは手を振ったり、一言何か言ったり(あるいは、反対の立場の人も自分の意見を言うし)、相互にコミュニケーションがあったんですが、東京の車は沈黙しているし、道行く人たちも、大抵無表情にこっちを見ているだけで、何もない。
 私だって、通行人だったら、ただむっつりデモを見ているだけの人になるでしょうから、別に通行中の方々を非難しているわけではなく、そうか、コミュニケーションがないなあと気がついたということです。そういう意味で、結構面白い体験でした。でも、くたびれた…。

 そうそう、政治家のお二人、志位委員長と福島党首は、簡潔明瞭にメッセージがよく伝わり、メリハリがあって時間内にぴたりと終わるスピーチをして、政治家って、話上手いんだ〜、国会討論やインタビュー見ているとそんな風に思えなかったんだけど、と目からウロコが一枚落ちました。政治家にもよるんでしょうが、いやお見事でした。

 私としては、とにかく憲法を今の政府にいじってもらいたくないです。やろうとしていることは、私たち国民にとってプラスになるとはどうしても思えないので。
 憲法9条問題は知っていくと、結構複雑で難しい問題だと分かってきて、個人的にはうーむとうなっている段階。以前、小森陽一さんの『ポストコロニアル』を読んで、天皇制の存続と、戦争放棄・軍事力放棄の憲法9条と「沖縄の要塞化」(基地問題)は密接不可分な三点セットだということを知って以来、この問題は私にとり、ややこしいものとなりました。(なお、小森氏の記述は古関彰一氏の『九条と安全保障』を基にしています。)沖縄を要塞化すれば、本土に軍隊は必要ないという判断がGHQにはあったということ。沖縄に基地があるから、9条を持ったこと。自分の中でまだ整理がし切れていません。

ポストコロニアル (思考のフロンティア)

ポストコロニアル (思考のフロンティア)

 という所で、本日はこれにて。

 はるる