杉浦日向子さん
朝刊を開いて、思わず、「ええっ!」と叫んでしまいました。敬愛する杉浦日向子さんがガンで亡くなられたという記事が大きく載っていたからです。前回のブログに杉浦さんのご著書を取り上げたばかりだったのに。あの時、既に杉浦さんは亡くなられていたのですね。
杉浦さんの享年はわずか46歳。若すぎる、早すぎる死でした。
杉浦さんが亡くなられたことを知って、今日は一日心重く過ごしました。外は台風で雨が降っているけど、私の心にも雨が降ってます。(仕事でも疲労困憊したし、情けないミスはするしで、ただ今へとへとです。今日は、きっと「間違った側からベッドを降りた」日なんだわ。)
私は杉浦さんのマンガが大好きでした。
一番好きなのは、『百日紅』かな。北斎のおやじもとってもいいですが、北斎の娘であるお栄さんが私の「いっちお気に入り」でした。こんな女性になりたいなどとあこがれたものです。部屋がめちゃめちゃ汚くても平気でひたすら絵に打ち込んでいるというのがいいねえ。
以前、実在のお栄さんが描いた絵を見たことがありますが、こんな絵を描いていたのかと、結構感動しました。でも、北斎に比べると、やはりちょっと見劣りがしましたけれども。
とはいえ、このマンガを読んでしばらくは、この北斎の絵、実は彼女が代作したのでは・・・とついつい疑いの眼で見てしまうという後遺症が残りましたねえ。
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それから『百物語』。これも大変好きでした。こういう、ちょっとした怪奇譚は好きなので。(スプラッタなホラーはだめなんですけど。)一つ一つの話の中で、これは『半七捕物帖』のある話を膨らませてるーなどと発見しつつ読むのも、楽しかったですしね。
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後は、明治初期を舞台にした『東のエデン』『ニッポニア・ニッポン』もお気に入りでした。
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確か、このシリーズには「殿さん」とおそらく将来産婦人科医になるのではと思われる医学生が出てきたと思うんですが、この二人が私の好きなキャラだったのです。正真正銘、本物のお殿様のおっとりぶり、医学生さんの絶妙のボケ振り、こういう人、大好きです。
幻術使いの人のシリーズもここに収録だったかな。(手元に本がないので、分からない〜。うろ覚えで書いてます。幻術使いの人の話では、お仕えしている若様に龍を見せる話が好きでした。)
そして、最後は、『とんでもねえ野郎』。これは主人公(御家人だったかな)の見事なまでの脱力した生き方も気に入ってましたが(こんな風に生きられたら、どんなに楽か)、彼の奥さんがなかなかよろしかったです。
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もう、杉浦さんの新しい本を読めない、あの薀蓄を聞けない、読めないと思うと、ちょっと悲しいです。
杉浦さん、天国でゆっくり銭湯につかって、おそばでもすすって休んでください。素敵な本を遺してくださってありがとうございました。
はるる