「新選組!!」追記

 前回、「新選組!!」は日本人の視点から見た北海道が出てくる旨、ちょっと書きましたが、それに関する書籍として思い出したものを書いておきます。それは、テッサ・モーリス・スズキ氏の『辺境から眺める』です。

辺境から眺める―アイヌが経験する近代

辺境から眺める―アイヌが経験する近代

 この本の、特に第一章「フロンティアを創造する」はこのことを考えるにあたって、参考になるな、と思いまして。

 ドラマの中で、榎本は土方にこの地にできる新しい国では、近藤勇は犯罪人などではなく、建国の礎として記憶されるという趣旨のことを言うところがありましたが、もしこのドラマのように、「箱館政府」が本当に薩長の明治政府とは異なる民主主義的な、民衆の側に立つ政権として確立していたら、その政府はシャクシャイン*1をも正当に評価し得る国家となる可能性はあったか?というのが、私が考えているところ。
 明治政府だけが、近代日本が選択しうる国家だったわけではない、というのは『会津戦争全史』を読みつつ、確認しているところなので、こんなことを考えてます。

会津戦争全史 (講談社選書メチエ)

会津戦争全史 (講談社選書メチエ)

 私は明治政府があまり好きではないので、ついこういうことを真剣に考えてしまいます。

 でも、鞍馬天狗も、るろうに剣心も、倒幕派を守ったのよね〜。鞍馬天狗のお話の中では、確か新撰組は悪役だったのでは?勝てば官軍、負ければ賊軍。悲しいなあ。

 ところで、「新選組!」や「新選組!!」を観ていていつもながら感じていたのは、男の人って、どうしてすぐある人についていくぜという発想になるのかな?ということ。それと、グループを作ると、それは常にピラミッド型の力関係が支配するものになるというのも、不思議。勝った負けたが好きだしね。男性と女性の大いなる違いを感じますわ。
 で、男性しか出てこない「新選組!!」を観た後で、『男同士の絆』って本があったなあ、あれ読まなくちゃと思った次第。といっても、いつかね、という話です。今は読むヒマないと思うので。

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

男同士の絆―イギリス文学とホモソーシャルな欲望―

 まとまりがないついでに書きますと、歴史ドラマだと、大抵、実物より配役の俳優さんのほうが顔が素敵ということが多いですよね?近藤勇を香取君がやるみたいね。土方さんと山本君はよく似ていて、これは珍しいかもと思いましたが、しかし!中には、実物の方がいいなと感じさせられた稀なケースがあります。それは、松平容保公!
 容保役の筒井道隆さんも、決して悪くなかったですが、私の目には、実物はもっと美しく見えるのでありますよ。初めて容保殿のお顔を写真で見たとき、私は「白皙の美青年」という言葉は、こういうお顔のためにあるのね、と思いましたもん。(ま、私の美意識は変だという説もあるので、自信満々で断言できないのですけど。)
 松平容保さんの顔は、この本の表紙で御覧ください。小さいけどね。土方さん、近藤勇に挟まれてます。

敗者から見た明治維新~松平容保と新撰組

敗者から見た明治維新~松平容保と新撰組

 というところで、本日はこれにて。

 はるる

 


 

 

*1:1669年に起こった大規模なアイヌの反乱を指導した人物