ある一日
復活したと思ったら、再びお疲れモードに突入してしまい、朝からどうしてもフランス語の文献を読む気になりませんでした。澱のように疲労がたまって、座っていられず、ぐったりと横になっている始末。
よく分からないフランス語を読もうとする努力が、目の前にそびえたつ高さ10メートルの壁に体を打ち付けている空しさに感じらて、無気力状態。
先日、ある通りを歩いたのですが、そこはえんえんと両側にアパルトマンが並ぶ通りで、どの扉も硬く閉ざされていて、コード番号を知らない限り、決して開かないドアなんだなあと思い、まるで私は谷底を歩いているみたいと感じながら通り抜けました。そして、今朝の気分は、フランス語というドアを開くコード番号を知らないで、どこからも招かれることもなく、一人とぼとぼと通りを歩いているという感じだったわけです。
フランス語に拒絶されている。フランス語を拒絶している。
それが、午前中の私の状態でありました。
とにかく何もする気になれないので、散々迷った果てに、気分転換にオルセー美術館に行くことにし、午後でかけてきました。
行ってよかった。おかげで元気が出てきました。
印象派が大好きというわけでもないのですが、いい絵にはやはり力がありますね。
それにしても、絵を描くということの背景にあれほどの理論と世界観が潜んでいるとは。恐れ入りました。「見る」ということにおいて、印象派は革命的だったんですねー。その後、絵画はひたすら「見る」ということを内面化していくというのか、外界をいかに見て表現するかを追及して行ったような印象があります。(←素人考えなので、十中八九、間違ってると思います…。)
オルセーの絵画は殆どが19世紀のものなので、絵を見つつ、またまた19世紀について考えてました。教会の動きを念頭に置きつつ、この頃、印象派が物議をかもしていたのか、この頃、芸術世界ではジャポネスクの影響がこんなに出ていたのかと合わせて見ていると、面白く、わくわくしてきて、そうか、これも勉強しなきゃ、あれについても本を読んでみようと気持ちが高揚してきて、おお、前向きになってきた、なってきた。
マネの「草上の昼食」を見ながら、印象派以後を生きて、彼らの対象への眼差しを既に常識としている現代に生きていることを確認し、発表当時にこの絵が引き起こしたスキャンダル、人びとに与えた衝撃に思いを馳せていました。メンタリティとか、世界観とか、視線が変化した後で、それ以前を理解しようとするのも、エネルギーがいりますね。
また、もともと駅だったというオルセーの建物のすごさに圧倒されつつ、こんな建物を建てる西洋にやってきて、その眼で見た幕末・明治の日本人は何を感じ、考えたかと先人の思いにも心がいきました。
慶応3年のパリ万博にやってきた徳川昭武は、オスマンのもと美しく生まれ変わった、今私たちが見ているパリの街並みを見ているわけで、彼はどんなことを思い感じたのだろうかと今更ながら気になりました。図書館で一度は手にとって、時間がないやとまだ読んでいない『プリンス昭武の欧州紀行』をいつか、読んでみようかなあ。
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久米邦武の『米欧回覧実記』きちんと読まなきゃ。田中彰先生の研究も気合を入れて読みます。まずは、手頃な新書・文庫から入って。
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スケート、ロシアの人が圧倒的に強くて優勝しましたね。個人的には二位になったスイス人の滑りが好みだったんですが、ジャンプに失敗してころんでしまったのが、痛かった。
日本の高橋君は最初に大こけした後、ちょっと細かいミスが出てたみたいで、残念でしたね。
なにせフランス語の解説はよく分からないので、いろいろと技術的な解説もしているみたいなんですが、???でした。私のフランス語理解が正しければ、長野オリンピックで金メダルとったという人が解説していました。なんだか愉快な人で、日本ではありえない、派手なリアクション連発でしゃべってて、面白かったです。
ああ、それにしても五十嵐さんの解説が恋しい。
そういえば、前回のオリンピックはアメリカで見てたんだった。アメリカのフィギャア中継はどんなだったか、今、思い出そうとしても、ちょっと記憶が戻ってこない。解説者はこんなににぎやかにしゃべってなかった気がするけど。
では、どん底から浮上できましたので、明日からまた、フランス語と向かい合います。
はるる