Livres de parole
昨日、フランソワ・ミッテラン国立図書館で行われている展覧会に出かけてきました。
Torah, Bible, Coran: Livres de parole (「トーラー・聖書・コーラン:みことばの書」)という展覧会です。(詳細は下記を御覧ください。)
http://expositions.bnf.fr/parole/index.htm
そんなに広い会場ではなかったんですが、見応えは充分!
クムランで発見された聖書の断片から始まって、中世の美しい写本やら、間抜け顔のおちゃめな竜が頁の両隅を守るヘブライ語聖書やら、流麗そのものの様々なコーランやらがばっちり展示されていて、感激しました。
アラビア語の聖書とか、クリュニーで12世紀に翻訳されたコーラン(ムハンマドをちゃんと「偽預言者」扱いしている←この辺り、私のフランス語理解が正しければ、です)とか、こういうの大好きな私は一人で盛り上がってしまったですよ。
また、ムスリムが描いた聖書の場面(アブラハムがイサクをあわやいけにえに!のシーンとか)というのも展示されていて、こういうのも好きな私は、ますます喜んでしまったのでありました。
会場には、コーランの詠唱(だと思う。説明がなかった、もしくは私が気がつかなかったので、よく分かりません)やアラビア音楽(もしかしたら聖歌みたいなのかもしれないけど、詳細不明)をヘッドフォンで聞かせるコーナーもあったりして、気合入ってた気がします。
コーランの詠唱(もうそうだと勝手に決め付けています)は、こぶしが利いていて、日本民謡とか声明みたい、なんだかなつかしさを覚えるな〜と、一人うっとりと長い間、繰り返し聞いていました。
そして、出口近くでのちょっと不思議な…えーと、星雲の写真を背景にして、アラビア語、ヘブライ語、ギリシア語、ラテン語で神のさまざまなみ名が次々と現れるという、一種のビデオクリップみたいなもの(?)をやっていて、これがとても不思議で吸い込まれるような魅力があり、見飽きることなくこれまた、ずっと見入ってしまいました。
アラビア文字ってこんなに美しかったのかとか、宇宙の奥から回転しながらヘブライ文字が現れるとき、それが三次元的に、立体的に登場するのがすごいなあとか、いろいろ感心していました。(いやあ、説明が難しいです。私の乏しい文章力では上手く描写できません。)
アドナーイとかアッラーとかキリストスとかアニエス・デイとか、次から次へと四つの言語で登場する神のさまざまなみ名が、アラビア文字はゆっくりと右から左へと描かれ、他の三つの言語はヘブライ文字やアルファベットが宇宙の彼方から前面に向かって踊るように動き回りつつ、目の前で一つの言葉をなしていくという趣向がね、少なくとも私にぴったりどん!で、吸い込まれるようにいつまでも観ていました。
ただ、BGMのように、福音書のフランス語朗読(←私の理解が間違っていなければ)が流れていたけど、あれはなくてもよかったなあ、個人的意見としては。
そして、書店で(ええ、図書館に本屋さんがあるんですよ。いいねえ)カタログを売っているのを見て、悩みましたね。買うか買わないか。たっぷり30分は悩みましたよ。
39ユーロは高い。しかも、大きくて結構重いよ、これ。
第一、このカタログを買って、果たして本当にこれを活用できるわけ?
おお、展示会場で見せてくれていたものが結構、カタログに載ってないではないか!
という具合に理性が様々なことを言いまして、結論としては、買いませんでした。
ところが、そのすぐ近くにLa Bibile dans L'art Islamiqueという本を発見してしまう。うう、こういうの好きなんだよ、好きなんだけど〜!
…ちょっと待て!32ユーロもするぞ、買うならもっと必要な本があるだろう、買っても読まないよ、きっと、やめときなさい等など、再び、理性による必死の説得の結果、これも最終的に買うことを断念。
というわけで、手ぶらで帰ってまいりました。
でも、この本、面白そうだったんですよ。イランのミニアチュア絵画において、旧約・新約聖書はどのように描かれているか。何枚もカラーで図版がついているんですが、これがいい。お告げの場面の鬚面の天使ガブリエルには個人的に受けました。
聖なる人のしるしは、背後に炎めらめらで描かれるのも、西洋の表現を見慣れた眼には新鮮でしたしね。
あ、そういえば、ミッテラン図書館、モダンな建物で、広くて、よさげな図書館でした。取っ付き易そうなのが羨ましい。日本の国会図書館は、もう少しどうにかならんか。
でも、図書館に入るときも、空港みたいな持ち物チェックするんですね。オルセーみたいでした。それで、インフォメーションに展覧会はどこかと英語で聞いたら(フランス語で聞く自信がなかった)、説明文はフランス語だけだから、見たって分からんだろう、やめとけと言われてしまった(親切な忠告だと前向きに解釈)。それでもいいからと言ったら、そこでチケット買って、左にある廊下を行けと説明してくれたけど、やはりフランスでフランス語できないというのは、まずいです。
では、仕事に戻ります。フランス語だよ…。
はるる