フランス語の発音

 前回は出かける直前で慌てていて、なんだかなあという文章を書いてしまいました。内容が題名といまひとつ噛みあってないですね。あの題名にあったことを書くつもりだったんですが。一応、公共の場に出す文章なのになあ…と反省。
 関係ないけど、『李香蘭 私の半生』をある本屋さんに口頭で注文したら、本屋さんの注文伝票には『備考欄 私の反省』と書かれていたという話を、かつて本の雑誌社から出ていた文庫本で読んだことを思い出しました。(『本の雑誌傑作選』だったかな?)。いえ、それだけなんです。すみません。
 閑話休題
 
 さて、今、私の前に立ちふさがっているのは、フランス語の語彙が圧倒的に不足しているというボキャ貧問題と、フランス語の発音です。
 語彙問題はさておき、本日は発音問題をとりあげたい!
 私はフランス語の本読んでいても、つい英語式に頭の中で発音しながら読んでたりするので、とにかく発音ということに対して弱い。そのため、知っている単語も耳で聞くと分からなくて、情けない思いをしたりすることがしばしばあります。
 しかし、さらに問題なのは、こちらが発話する場合、つまり、私がフランス語を発音する時です。一つの文を言うにしても、乗り越えねばならない障害の多いこと、多いこと、時には口を開く気力も萎えます。もともとラテン語からの派生言語でイタリア語と姉妹だなんて、信じられません。どうして、ここまで発音が違ってしまったのか?ガリア人よ、お前はどーしてこうなったのか。

 それは、パリに来て二週間が過ぎた頃、突然、毎日言ったり言われたりしているBonjourのjourの音が周りのフランス人の音と私の音が違う!ということに、私は気がついてしまったのです。それをつい、夕食の食卓で言ってしまいました。すると。
 ミリアム「そう?じゃ、言ってみて。」
 私 「ボンジュール」
 ミリアム「んん!Bonjour
 私 「ボンジュール」
 ミリアム「Non!Bonjour
 私 「…ボンジュール」
 真剣な顔できっぱりと首を横に振るミリアム。
 何度やっても、彼女の首が縦に振られず、数分間が永遠の時間に感じられてきました。
 「ふらんすに行きたしと思へども、ふらんすはあまりにも遠し…。」

 そんな心境になってきた頃、マリー・フランソワーズが強力助っ人として登場。どうすれば、jの音が出るか親切に教えてくれ、やっと「そう、それよ、その音よ!」と言われて、安堵したのも束の間。
 二人に挟まれて苦闘する私を暖かくオレンジを食べつつ見守っていたモニックが、一言。
 「はるる。Je mange une orange. はい、言ってみて。」
 「ジュ マンジェ ユノランジュ」
 「んん!Je mange une orange.」
 「ジュ マンジェ…」以下同文。数分続きます。

 なんとかそれをクリアーして別の話題になり、私が「19e siècle」と言ったとたん、はい、もうお分かりですね。私のsiècleの発音が間違っているということが(;_:)。
 数字のほうもきわめて怪しいですが、お目こぼしにあった模様。というか、実は既に矯正は試みられており、その結果、おそらくさじを投げられてます。
 再び、ミリアムが真剣にお前の音は違うと矯正しようとしてくれたのですが…まだクリアーできてません。ごめんね。
 その他、鼻母音、R音、L音…障害は終わりなく続き、いつかこうした音を出しつつ話せる日は来るのでしょーか?という疑問に苛まれております。美しく流暢にフランス語を話せる日本人の方々に対して、心から尊敬の念を抱きます。本当に!

 というわけで、私のフランス語に春が来るのはまだまだ先のようです。強い寒気団が発音方面より張り出しておりますゆえ。(さらに、語彙方面からも強い低気圧がはるる列島を覆っております…。)

 ところで、今日、La Procure(キリスト教関係の大手書店)に行ってきました。行くのは二度目。行くたびに、本棚の本が「読んで、読んで、私を読んで!」と私に呼びかけてくれているのに、すらすら読めなくて、無念だ〜!と感じてしまいます。あんなに面白うそうな本で満ち満ちているというのに、くやしいなあ。je mange une orange などと言っている場合か?ああ、本好き女の血が騒ぐ。
 というわけで、考えに考えた末、本日購入したのは、
 Paris capitale religieuse sous le Second Empire
です。500ページくらいあるんですよね…。読む、読みます、読めれば、読めと一人で活用形を復習しつつ、清水の舞台から飛び降りる気分でレジに向かいました。

 なお、一回目に来た際買ったのは、
Chrisianisme et société en France au XIXe siècle です。
 ついでに告白しますと、アジアの宗教・文化専門書店で
La Question religieuse dans L'empire colonial françaisも買ってます。
 読むんでしょーね、本当に?と私の理性と良心ただ今、厳しく問いかけております。読むつもりで買ったから、読むと思います、が…。
 それにしても、これらの題名を発音してみろと言われたら発音矯正一時間コースだなあ。

 ところで、フランス語で話そうとすると、すごーく頭が悪い人になった気分がします。言おうとしていることと実際話すことの間のギャップが激しすぎる上、自分が、1,2,3を言おうと意図して話し始めたはずなのに、フランス語の文を作る作業に全神経とエネルギーを使う結果、1を言った後、もう2、3につなげることを忘れて、6に飛んで、相手を混乱させたり、自分もあれ?何を言おうとしたんだったっけ?私になってしまったり、とっても頭の悪い話し方をしていると感じます。英語で話しているときも同じ問題はありましたが、フランス語は英語に輪をかけています。スキルレベルの差でしょうか。

 というところで、夜も更けてまいりましたので、この辺で。

 はるる