最低賃金
お暑うございます。日本だけでなく、韓国もアメリカもフランスも異常に暑いようで、これはやはり温暖化の影響なのかと心は冷えています。
先日、NHKで視聴したワーキング・プアについての番組もぞっとする問題を投げかけいました。その直前に、同様の問題を扱った小冊子を読んでいて、深い衝撃を受けていたので、ダブルパンチを喰らった感じです。
昨日、出勤前にABCニュースを見ていたら、アメリカでワーキング・プア問題解決への第一歩として、最低賃金を引き上げる法律が議会に提出されるとかなんとか(出勤直前だったので、腰を据えて視聴できなかった)。
これまでの最低賃金は5ドル15セントで、これは長年据え置かれているのに対し、家賃、医療費など生活に深く関係するコストは最低でも20パーセント、何だったか忘れましたが、すごいのは140パーセントだかにはねあがっており、働けど働けど我が暮らし楽にならざりき、という状況に陥っている人びとがおびただしくいる、ということが今回の引き上げの背後にある現実ということらしいです。
http://www.infoplease.com/ipa/A0774473.html
http://www.dol.gov/esa/whd/flsa/
http://www.epi.org/content.cfm/issueguides_minwage_minwagefacts
引き上げられた後は、7ドル25セントになるみたいですが…。
このニュースを聞いて瞬間的に思い出したのが、『ファストフードが世界を食いつくす』の中の、最低賃金に関するくだりでした。
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マクドナルドは共和党のニクソンに多額の献金をして、10代の従業員に対して最低賃金よりさらに20%低い給与を支払うことを認める法律を制定させています(54〜55頁参照)。(そのため、この法律は「マクドナルド法」と呼ばれているみたいです。)やだね〜。
しかし、何もマックだけががめついわけではないようです。
ファストフード業界は、アメリカのどの産業よりも、従業員に最低賃金を支払う割合が高い。したがって、最低賃金を安く抑えることが、ファストフード業界の経営計画には欠かせない命題になっている。1968年から1990年のあいだ、つまりファストフード・チェーン店が最も急速に拡大した期間に、最低賃金の実質価値は、ほぼ40パーセント下がった。90年代後半でも、60年代後半に比べて、まだ27パーセントほど低い。にもかかわらず、全米レストラン協会は、国、州、地方のどのレベルでも、最低賃金の引き上げに強く反対してきた。(中略)
飲食店業界では、従業員に支払われる賃金の実質価値が、この30年間下がり続けた一方で、管理職の収入はかなり上っている。(103p)
すごーくいやだな、こういう世界は。間違っている。
こんなことをしてたくさんの収入を得ている管理職の人は恥ずかしくないのだろうか。
先日、『ニッケル・アンド・ダイムド』が翻訳されているのを新聞広告で知りました。
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数週間前のTIMEには日本経済復活の記事がありましたし、『ル・モンド・ディプロマティーク』も日本経済復活について書いてます(書き手はアメリカ人だが)。どちらも、好意的な内容だという印象がありますが、どーなんでしょうか?
日本経済はすさまじいつけを抱えての「復活」でしかないのではないか?これは「復活」というより、いつかまた死ぬ「蘇生」なのでは?
ル・モンド…の記事はこちら↓
http://www.diplo.jp/articles06/0605-2.html
この問題について知識ばかり増やしても意味ないわけで、「もう一つの世界は可能だ」というなら、それをどう実現させていくのか、もっと学んで実践していく必要があるのでしょうと思いつつ、ああ、今日もこんな小学生の感想文で終わってしまうのが情けない。
はるる