年の瀬に書店でよれよれ

年の瀬だというのに、年賀状も書かずおせち料理も作らず、神保町に行ってきました。この半年の間、行きたいと思い続け、このまま年を越したくなくて。

まず向かったのは東京堂書店
見るのは一階だけとルールを決めて、店内に足を踏み入れる。うっかり二階以上に行ったが最後、二度と出られなくなってしまふ。

何を買うかという目標のない書店入りでは、その時の気分が大事であります。

 今日の気分はというと、なんか目黒考ニの『笹塚日記』シリーズか、読み応えのある小説・・・かなあという感じ。

 このところ、椎名誠の『本の雑誌血風録』『新宿熱風どかどか団』と読み返したので、この際だからこのシリーズで唯一読んでいない『哀愁の町に霧が降るのだ』上下にしてもいいかなとしばらく上巻を立ち読みしてみました。
 

哀愁の町に霧が降るのだ〈上巻〉 (新潮文庫)

哀愁の町に霧が降るのだ〈上巻〉 (新潮文庫)

 ・・・10分後の結論。
 今日の気分としては、もう少し、重くて静かな小説だなあ、また今度にしようっと。

 次に鷺沢恵の『ウェルカム・ホーム!』をどうしようかと悩む。結構好きな作家(といっても数作しか読んでない)だった。
 が、私にとって彼女の自殺の衝撃は結構大きかったこともあり、どうも購入意欲が湧かない。

ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

 おお、そうだ目黒考ニの本を探さねば、と文庫コーナーからエッセイの棚に移る。
 しかし、ナイ。うーむ、と静かに唸る。
 
 唸りつつ、ふと上の棚を見れば松下竜一の『ビンボーひまあり』の続きが出ている!

そっと生きていたい

そっと生きていたい

 おーっ、きっと新しいのが出版されていると思っていたよ!
 しかし、なぜか今日は読む気がしない。

 その後も、あちこちの棚の前でいろいろ拾い読みすれども、どれもピンと来ない。どれも面白そうなんだけど、なぜかレジに向かえない。

小説だと、何が読みたいかなあと自分に聞いてみる。文庫に限ると新たなルール設定。
かくして『図書館戦争』が脱落。(出た当初から読みたいと思っているのに、なぜか買えない本。そういうの、ありません?)

図書館戦争

図書館戦争

『となり町戦争』は迷ったけど、購入に踏み切れない。

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

正月なんだから、長いものはどうか?と現実を無視した思考に走る。それだと、思い切って『シンセミア』だなあ。

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

というわけで、しばし朝日文庫の棚の前で迷いまくる。面白そうなんだけど、読み応えとってもありそうなんだけど。

けどけど、理性が「正月にやること山ほどあるやろ、何ゆーてんねん」とドスを利かせているんですう。すみません。

と誰に謝っているのか自分でもよく分かりませんが、結局購入を断念しました。

うーん、困った。
『総統の子ら』も全3巻で長すぎるし。

本の雑誌社が出している2006年度の文庫ベスト10の雑誌を見に平台に戻り、ベスト10をあれこれ見比べる。

おっ、数人の選者が挙げている『カンバセーション・ピース』。これには前から興味あったんだ、ようし、これにしよ!
と、心も軽くいそいそと新潮文庫の棚に赴けば、保坂和志が一冊もない。豊崎さんがベストワンに押している文庫本なんだから置いといて下さいよ〜!!

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

えーい、こうなったら、以前から気になっていた『ニッポニア・ニッポン』だ!と思ったら、今度はそれがどの文庫から出ているのかが分からない。
うーむ、人生は厳しい。

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

そうこうしているうちに、店内を行ったり来たり、あっちうろうろ、こっちうろうろしているので、いい加減、挙動不審者としてマークされているのではなどといらぬ不安も頭をもたげてくる。もう一時間以上も書店の中を歩き回っているだけ。うむむ。


結局、ほぼ二時間近く東京堂書店一階を歩き回りつづけたはるるが買ったもの。
それは保坂さんの『季節の記憶』でした。
疲れ果てて、こういう静謐なたたずまいの小説を読みたい心境になりましたです、はい。

季節の記憶 (中公文庫)

季節の記憶 (中公文庫)

その後、まっすぐお家に帰ればよいものを、目黒本があきらめ切れない私は、三省堂書店に入り、またもやうろうろ。

驚いたのは、私が大ファンだった宮脇俊三さんの娘さん(宮脇灯子さん)がお書きになった本を発見したこと。昨日も別の本屋で、別冊太陽の宮脇さん特集を見かけ、買うかどうかさんざん迷ったところだったのです(結局買わなかった。)

父・宮脇俊三への旅

父・宮脇俊三への旅

鉄道に魅せられた旅人 宮脇俊三 (別冊太陽)

鉄道に魅せられた旅人 宮脇俊三 (別冊太陽)

ここでも目黒本は見つからず、書泉グランデに向かう。
ここにもなし。

そして、このあたりで、力尽きました、古本屋をチェックする気力もなく、第一、多くの古書店は年末ですので閉まっております。

かくして、『笹塚日記 親子丼編』、以前有楽町の三省堂で見たなあなどと思いつつ、よろよろと都営新宿線のプラットホームにたどりつけば、入ってきた電車は笹塚行きでした。ちゃんちゃん。

「身長の2倍日記」

The Wind in the Willowsを読了。Toadの運命がああなるとは、ちょっと驚き。個人的にはMoleさんが好きでした。

The Wind in the Willows: Level 3 (Bookworms Series)

The Wind in the Willows: Level 3 (Bookworms Series)

それでは、皆様よいお年をお迎えください。今年一年、ありがとうございました。

はるる