13日間

 RFK週間は終了したはずなのですが、私の中では既に月間化しており、東京往復の新幹線の中でRFKの遺著である『13日間』を読みました。

13日間―キューバ危機回顧録 (中公文庫BIBLIO20世紀)

13日間―キューバ危機回顧録 (中公文庫BIBLIO20世紀)

 日本語版にはテッド・ソレンセンとロバート・マクナマラが1968年に寄せた文章を訳して載せているのが嬉しい。
 今出ている英語の方にはシュレジンガーが序文を書いているので。まあ、いいんだけど。

Thirteen Days: A Memoir of the Cuban Missile Crisis

Thirteen Days: A Memoir of the Cuban Missile Crisis

 改めて読んでみて、イラクを攻撃する前に、ブッシュ政権はこの本を熟読すべきだったなと思いましたね。

 いささか恐れおののきながら、私(RFK)はこう論じた。封鎖よりも攻撃を選ぶという軍事的および政治的議論が正しいかどうかはともかく、米国の伝統と歴史は、そのような行動を許さないだろう。アチソン氏らがどのような軍事上の理由を並べることができようとも、彼らはしかし、結局のところ、非常に大きな国が非常に小さな国に奇襲攻撃をかけることを主張しているのだ。われわれが国内において、そして地球上において、道義上の地位を維持すべきであるなら、米国はそのようなことをしてはならない。(29p)

 われわれはそれまでにないほどハッキリと米国の力、大統領の力の意味と、それに伴う責任とを悟ったのだ。この地球上の、いたるところの人々―われわれのことを聞いたこともなく、米国についても、いまこうしてこの部屋にすわって彼らの運命を決定し、彼らの生死を左右する決定を行っているわれわれ一団の男たちのことを、聞いたこともない人々に対しても、われわれは責任を負っているのだ―。(83p)

 それ(キューバ危機)はまた、世界各国に尊敬されていることがいかに大切か、同盟国と友人を持っていることが、いかに死活的に重要であるかを示した。(103p)

 わが友人たち、同盟国たち、そしてトーマス・ジェファソンが言ったように、人類のもろもろの意見を尊重することが、すべて極めて大切なのである。われわれは、たとえ望んだとしても、孤島であることはできないのだ。また世界から、自らをうまく切り離すこともできないのである。(105p)

 フルシチョフケネディに送った第一書簡もブッシュ大統領は再読すべきでしょう。

 われわれは“つまらない激情”や“一時的なもの”に負けてはならないが、いったん戦争が始まったら、それを止める力はわれわれにはないことを理解しなくてはならない。なぜなら戦争の論理とはそういうものだからである。私は二度戦争に参加した。戦争というものは至るところに死と破壊をまき散らし、町や村をじゅうりんした時に終わるものだ。(71〜72pp)
(中略)
 軍備は破壊だけをもたらすものだ。軍備を増強すると経済を傷つけ、軍備を使うと双方の国民を殺傷する。したがって軍備が社会生活での主要な手段だと信ずることのできるのは狂人のみである。軍備は人間のエネルギーを無理やり浪費させるばかりか、さらに人間自身を破壊してしまう。(74p)


 ついでに、まったく利害関係を異にするタフな相手に対しどう交渉するのかを学ぶために、今の日本政府もこの本を読むべきではないでしょうか。
 北朝鮮に対して現在やっている外交姿勢は、非常にまずいと、この本を読んで再確認した次第。
 「毅然とした態度」がいくら内輪に受けても、それを外交交渉とは言わないのだということが、とってもよく分かります。

 こちらが弱腰とは相手に思わせることなく、しかも、相手の選択を極度に狭めるようなやり方で追い詰めたりしないで、いかに双方の利益になるように合意点に達していくか―。
 とっても難しくて根気と注意力のいる仕事ですが、これをするのが外務省であり、政府なのでは?


 で、つい勢いに乗ってDVDを借りて観てしまいましたよ^^;。
 

13デイズ [DVD]

13デイズ [DVD]

 かつてこれが劇場公開された際に、JFKファンの友人と一緒に観に行ったのですが、結構内容を忘れてました。 
 当時の私は隠れキリシタンのごとく、隠れRFKファンとして生きてました。映画の後、やっぱりケネディ大統領すてき!と公に語る友人の前で、内心RFKはよかったなあと思いつつ、ボビーなんて誰も知らないので何も言えなかった私…(遠い目)。いえ、JFKも素敵でしたけどね。

 それにしても、最初にこの映画を観たときには、何も分っちゃいなかったなあと、今回見直して感じました。
 今回は登場人物がどういう人たちか(ソレンセンやマクナマラだけでなく、テーラー将軍が誰であるかなど)についてある程度知識を持っていたし、キューバ危機についても本を読んでいたので、映画としてこう表現したのかと確認しつつ、わくわくしながら観ました。

 ボビーも大活躍だったから、満足。演じた俳優さん、彼に似てましたね。
 ケネディ大統領役の人はあまり似てなかったけど。(地味で今ひとつ華がないのが惜しい。)

 はるる