いきなり詩を読んでみる

 いろいろと読んではいるのですが、読後の感想を、とりあえず人様に読んでいただけるような文章にして書くという作業をする余裕がなく、日だけがどんどん過ぎていきます。
 時間にも、心にも余裕がない。
 いけませんね…。

 読了したのは、
 
 

差別の民俗学 (ちくま学芸文庫)

差別の民俗学 (ちくま学芸文庫)

 解説で赤坂憲雄さんが「これは大切な、未来に属する書物である」と書かれていたので手に取った一冊。
 驚きの連続の読書でした。『僕の叔父さん 網野善彦』に書かれていた若き網野善彦と子供だった中沢新一の体験を連想。
 自分が知っていると思っていた日本は何だったのか?と思ってしまいました。

 

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)


部落差別とカトリック―差別からの解放をめざして

部落差別とカトリック―差別からの解放をめざして

 

西欧中世の民衆信仰―神秘の感受と異端

西欧中世の民衆信仰―神秘の感受と異端

詩への架橋 (岩波新書 黄版 12)

詩への架橋 (岩波新書 黄版 12)

ブックカフェものがたり―本とコーヒーのある店づくり

ブックカフェものがたり―本とコーヒーのある店づくり

 この本の中に「ロストジェネレーション」世代で就職がないということを背水の陣にしてブックカフェを開いたという人のインタビューがあって、おおっと思った。

 何をいきなりって感じですが。「格」ねえ…^^;。


 他にもあるけど、まあいいや。

 
 部落問題関連の書籍を立て続けに読んだことの反動なのか、いきなり『詩への架橋』なんて読んでしまいました。

 私は文学がわからない人間で、特に詩を苦手とする者なのですが、突然こういうものが読みたくなりまして。
  

 野ゆき山ゆき海辺ゆき
 真ひるの丘べ花を藉き
 つぶら瞳の君ゆゑに
 うれひは青し空よりも。(佐藤春夫「少年の日」より1 春)

 これなどは、人口に膾炙している詩なので、出だしの「野ゆき山ゆき海辺ゆき」(後が続かん)だけは知っていたものの全体像は全然知らず、全部読んでみてへえ〜と感心したり。

 そういうワンフレーズだけ知っているというのが、結構ありますね。

 三好達治の「甃のうへ」もそうでした。

 これも出だしの

 「あはれ花びらながれ
  をみなごに花びらながれ」

 の部分だけ知ってはいましたが、それから先はわっかりっませーんの世界でした。


 草野心平の「空間」は何度読んでも凄いなあと感じる追悼の詩。
 

 中原よ。
 地球は冬で寒くて暗い。


 ぢや。
 さようなら。


 しめくくりに引用するのはリルケの「秋」です。

 葉が落ちる、はるかから落ちるやうに、
 はるかな空で庭が凋落するように。
 否む身ぶりで落ちる。


 そして夜は、重い地球が
 星の群から離れて孤独のなかへ落ちる。


 私たちのすべてが落ちる。この手も落ちる。
 そして他の者を見よ、すべての者のうちに凋落がある。


 しかしこの凋落を、限りなく優しく
 両手にとどめてゐる者がある。

 はるる