生命は
茨木のり子さんの『詩のこころを読む』をめくっていて、出遭った詩。
吉野弘さんの「生命は」。
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
ここに引用したのは第一連です。
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
人と人との関係、人と世界との関係を、これほど的確に、簡潔に、過不足なく表現できるとは、詩人とは本当に偉大な存在です。
- 作者: 茨木のり子
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☆ ☆ ☆
そして、偉大な漫画家の作品も一つ。
- 作者: 高野文子
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これは文庫本で、下が単行本。
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るきさんの、力の抜けた半分世捨て人のような、ご隠居のような、質素だけどニコニコ生きているあり方、大好き!
るきさんは私の理想だわ。
坂田靖子の短編「劉さんのお供」の劉さんになんとなく似ている。いいわあ、こういう人。
坂田靖子と並んで唐突に私の脳裏に浮かんだのは、高橋たか子。
あまりお金を稼ごうという気もなく、一ヶ月分の仕事を一週間で仕上げて後は図書館に行ったりしてのんびりしている、るきさんの姿から高橋たか子の一連の観想修道生活へと向かう男女(主に女性)を描く小説群を連想してしまいました。(一見似ていても、本質は全く違うのに。)
屋根裏部屋に住み、徹底的に貧しく生き、必要最低限のお金しか稼がないで、後は観想の生活をする女性を描いたのは、どれだったかなあ。
『亡命者』だっけ?うーん、思い出せない。
昔、私がすごく憧れた生き方。(でも、絶対できません。)
そう、そこはかとなく、るきさんのあり方はプスチニアに似ているのだ。
プスチニアは東方キリスト教の伝統。
神の召命を受けて、ふいに一人の人が森の庵にこもる。パンと聖書だけ持って。静かに深く神と共にあるために。
その庵に悩みを持つ人々が来ては、庵に住むその人と語り、共に祈り、パンを分かち合い、そして帰っていく。
確か、プスチニアはそういう存在の人だか、生き方の名称だったはず。
いほりの霊性(プステイニア)―現代人のためのキリスト教の霊性
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ところで、るきさんのファッションを見て、ああこれ、私の好きなファッションだわと思いました。
定番というか、永遠のオーソドックスというか。
いいんだ、今時の洋服より、こういうオーソドックスな服装が。
はるる