カメラを手にした子供たち/シオニズム
家に仕事を持ち帰っているくせに、今日しかこの映画を観に行ける日がないと、午前中から出かけてしまう。
観たのは、『未来を写した子どもたち』。
インドの売春窟に生まれた子供たちと写真との出会い、彼らの人生、作品、彼らが住んでいる場所、彼らの、家族、体験、そして、子供たちにカメラを渡して彼らの人生に深く関わっていく女性の写真家、ザナ・ブリスキが、このドキュメンタリーの中で描かれています。
ザナさんもとても素敵なのですが、なんといっても子供たちが素晴らしい。
明るくて実にパワフル。彼らの姿を見ているだけで、その生のエネルギーが伝わってきます。
どの子も素敵で、すっかり好きになってしまいました。
まだ彼らの大半は10歳とか11歳なのに、語ることを聞いていると、下手すればそんじょそこらの日本の高校生や大学生よりも成熟していて、分別がある。
映画の最後にザナの奔走により、寄宿学校への道が開けた子供たちのその後が語られる。
何人かは親の反対で学校に行くことを断念したり、学校に一旦は入ったものの、親にやめさせられたり、自ら退学したりしており、この後どうなったのかと心配になりました。
特に女の子はこのままだと母親と同じ職業につかざるをえなくなってしまうので、気を揉んでしまいました。
ネットで、その持って生まれた芸術的才能によって見出され、売春窟を出て行くチャンスを掴んだアヴィジットへのインタビューを発見し、それを読んで、彼らのその後がいささか分かりました。
アヴィジットはその後、無事に売春窟を脱出し、今はニューヨーク大学の映画学科で学んでいるようで、安心しましたが、女の子で脱出できなかった子はどうなったのか…。
http://mainichi.jp/enta/cinema/interview/news/20081204mog00m200017000c.html
映画の中で、ザナが子供たちに教育を受けさせてなんとか売春窟から脱出させてあげたいと、学校を経営するシスターたちに相談に行く場面があり、その時のシスターの返答を私は自分の中にまだ引きずっています。
この映画に登場する女の子、特に気が強くお転婆なプージャを見ていたら、一葉の『たけくらべ』を連想しないではいられませんでした。
美登利も要するにこういうことなんだなあと。
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☆ ☆ ☆
イスラエルのことが分からないので、ガザのことを本当に考えられない。
というわけで(それだけの理由ではなく仕事も絡むけど)、ただ今森まり子氏の『シオニズムとアラブ』を読書中。
パレスチナ問題を考える際には、ユダヤ教よりも、右派シオニズムを理解しないことにはちゃんと考えられないと思ったので。
シオニズムとアラブ ジャボティンスキーとイスラエル右派 一八八〇~二〇〇五年 (講談社選書メチエ)
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まだこの本を三分の一くらいしか読んでいませんが、右派シオニズムの思想的源流であるウラジーミル・ゼエヴ・ジャボティンスキー(ロシア生まれ。1880〜1940年)の思想について、興味深く感じた指摘が数箇所ありました。
1)ジャボティンスキーの民族論に土地への情緒的結び付きという土着感覚が欠落していること。
2)1910年代に多民族国家のオスマン帝国が解体し、民族国家トルコ共和国となっていく過程で起こったアルメニア人に代表される少数民族の悲劇にシオニストが右派も左派も無関心であること。
3)ジャボティンスキーには「力」(軍事力を重視し、同時に文化重視)を賛美する傾向があること。
時間があったら、サイードの『パレスチナ問題』や『戦争とプロパガンダ』のシリーズ(というのかな)も読みたいところですが、あまり横道にそれてる場合ではない。
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ところで、今週のTIME、表紙に「Why Israel Can't Win」とあり、ガザについて特集記事(Can Israel Survive?)を載せているのですが、完全にイスラエル寄りの立場から書いてます。イスラエルが一方的被害者みたいで、パレスチナ人について一切配慮がない。
サイードの『イスラム報道』(Covering Islam)が頭をよぎりました。
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ともかく、アメリカがどういう立場なのかは、よく分かりましたよ。
記事の最後に、新政権はイスラエル支持であることと、イスラエルに誠実であることを示すチャンスを持っていると書いてあって、がっくり。
ああ、また長くなってしまった。
はるる