『洗脳』を読んでみた
お久し振りです。
X JAPANを聴いたこともないのに(そんなバンドがあったなくらいの認識しかないおばさんの私)、ヴォーカリストのToshlが書かれた『洗脳 地獄の12年からの生還』を読みました。
- 作者: Toshl
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本
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手にした動機は、マインドコントロールの被害者が赤裸々にそのあたりのことを書いた本だということで、そこに興味を持ったからで、ファンの人からはどやされそうですね。
夕食後に読み始め、読みだしたら止まらず一気読み。
その内容(著者が受けた精神的、肉体的虐待の日々、およびカルトのトップにいる人物MASAYAとToshl氏の妻であった守谷香の非人間性)の凄まじさに衝撃を受け、その日の夢見の悪かったこと。
と同時に、最終章は人間への希望を感させるものでもあり、いい本だと思いました。
この本を読んだら、どんな歌を歌う人なんだろ?とか、本の中に出てきた心理カルト(当時の名前は、ホームオブハート=HOH)の支配下にあって、苦しんでいた頃のコンサートってどんなのだろう?とか好奇心がむくむくと湧き上がってきて、動画で検索して、初めて歌を拝聴。
なお、このカルトに関しては、下のサイトをご参照ください。
http://www.htphtp.com/index.html
さて、動画でいくつか歌を聴いてみて、私はおお、この人は、なんて上手い人なんだ!と感動してしまいました。
こんなに素晴らしい歌い手を知らずに今まで生きてたのか!という別の衝撃を受けましたね。
ハードロック系?…ジャンルもよく分かりません(^^;)の激しいのは、ちょっと聴くのが辛いものもありますが、バラード系は文句なし。
1997年の解散コンサート。下のような本の記述を読んでから、拝見すると、非常に複雑な思いがするというか、心が痛みます。
と同時に、そんな中で、こんなに素晴らしく歌えるという、この方の底力が驚異でもあります。
そして、本番当日(引用者注:ラストコンサートの当日)。
朝九時。ホームオブハート本部に入り、地下室で三時間にわたって特に激しい罵倒と暴力を受け、泣き叫んだ僕は、歌う声も残っておらず、頭も真っ白な状態になっていた。
十二時。ホームオブハート本部を出て東京ドームへ向かった。車中で気になっていたのはコンサートの模様がテレビ生中継されることだった。MASAYAや森谷らから
「テレビで見ている」と言われていた僕は、(どんな顔をしてあのステージに立てばいいんだ。ステージ上で余計なことはしゃべれない)と思っていた。YOSHIKIたちメンバーとの気まずさよりも、MASAYAや守谷らの顔色のほうを気にしていたのだ。午後五時三十分開演。東京ドームが暗転し、メンバー登場のオープニング曲、YOSHIKIの作曲した「AMETHYST」が大音量で流された。僕は、熱狂の声を上げる超満員のファンの歓声の真っただ中にいた。だが、その歓声はすぐに消えMASAYAや守谷の声が脳裏に響いていた。
「X JAPANはヴィジュアル系とかいう、もっとも自我の強いおぞましい集団の頂点に君臨する悪の権化だ」(中略)
一曲目の演奏が終わり、何をしゃべったらいいのか、言葉を失った。
「X JAPANのラストライブを迎えました……」
やっとの思いでそこまで言うと、また言葉を失う。
するとまたMASAYAと守谷の声が聞こえてくる。
「ハイエナのようなファンにちやほやされて鼻の下を伸ばしているうじ虫男!」(中略)
数曲ののちまたトークの機会があった。そこでも何を語ったらいいか、言葉に詰まっていた。
するとまたあの声が取り憑いたように聞こえてくる。
「お前のような宇宙的犯罪者は地獄のような人生を送る」(86〜88頁)
このようにフラッシュバックに苦しむ彼を救ってくれたのは、HIDEだったという話がこの後綴られています。
その数か月後に死去したHIDEを偲んで作曲されたという「Without you」は名曲と思いました。
下の動画は、2008年のX JAPAN復活コンサート。
この時、まだToshlさんはHOHの支配下にあった。
この本を読んでから、彼の歌うBorn to be freeを聴くと、感無量の思いになりました。
にわかX JAPANファンのはるる