いつの間にか増えている

 カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』は、毎晩少しずつ読んで、先日読了しました。
 メタファー豊かな小説ですが、今の日本の状況に身を置いて読むと、かなり身をつまされるというか、いろんなことを考えさせる小説でした。民族的、国家的な記憶とか、和解とか、民族的な対立とか。

 読み終わって小説を本棚に戻す際に、別の著者の本が最近本棚に増えているなあと改めて実感して、それは誰かというと、ブレイディみかこさん。

 我が本棚に並んでいるのは、以下の本たちです。

 最近新書で出た『労働者階級の反乱』を読みたいなと思いつつ、まだ買っていません。

 あと、ファンでもないし、『いまモリッシーを聴くこと』は読まなくてもいいわよねえと思い、こちらは確信的に購入せず。

 この人が描くイギリスと、自分が今年見たイギリスは、階級が違うということなのか、少し風景が違っていると感じています。が、私が一緒に旅行したイギリス人はそろって労働党支持者で、彼女たちの感覚はブレイディさんが描きだすイギリスとつながっていて、興味深いです。

 そういえば、このところ往復書簡集を二冊読んだのでした。

 一冊目は梨木香歩師岡カリーマ・エルサムニーのお二人による往復書簡『私たちの星で』。

 二冊目はぐっと大御所のお二人で、澤地久枝ドウス昌代の間で交わされた『海をわたる手紙』。

 

 どちらの本も魂が養われ良い時間をいただいたという思いがしました。ドウスさんの私的なこととか、初めて知ったことも多々あり。(そもそも、この人がピーター・ドウスの奥様だと知らなかったよ。)

 また、本を読む過程で、いろいろそれまであまり考えなかったこと(イスラーム世界のこととか)や、興味は持っていてぼちぼち読んではいたけど、深く向き合ったことないなということ(日系アメリカ人のこととか)を改めて考えました。

 そして何といっても、この人たちの本を読もう!という気にさせられました。梨木さんの本だけはほとんど全部読んでいますが、他は澤地さんの本を数冊購入したものの積読状態で、残りのお二方の著作は読んだことがありません。(澤地さんに関しては、共著は何冊か読みましたが。)

 ドウス昌代さんの書かれた本が気になったのですが、全部絶版だと分かり、いささかがっかり。(英訳されたものでアメリカで出版されたものは全て購入できるみたいなのですが。英訳も読んでは見たいですが、きっと難しいだことでしょう。)

 図書館で探して、いつか読みます。と言ってると、その「いつか」は来ないんだけども(^-^;。
 
 『ブリエアの解放者たち』、『日本の陰謀―ハワイ・オアフ島ストライキの光と影』、『水爆搭載機水没事件―トップ・ガンの死』など興味あります。

 師岡カリーマ・エルサムニーさんの本では、『イスラームから考える』を読んでみたいです。

 私はカトリックなので、欧米を中心に他の地域(中東・アジア・アフリカ・南米)を含むキリスト教世界については情報も知識もそれなりにあるし、自分の中の世界把握もキリスト教世界を通して行っている部分があります。

 しかし、イスラームという要素は私の中ですっぽり抜けているので、その視点から世界を見たらどうなるのかについて、往復書簡を読みながらすごく興味が湧きました。

 

イスラームから考える

イスラームから考える

 ではでは。

 はるる