「翼」について補足その他

 昨日触れた、The Habit のIntroductionを読みましたら、愛徳姉妹会の「翼」は、coronetと呼ばれるもので、ヴェールとは違うことが判明いたしました。なので、ここに訂正しておきます。
 この「翼」の修道服は大変ポピュラーだったため、1960年代アメリカで、The Flying Nunというテレビドラマのシリーズまで作られた由。このドラマ、どんな内容だったのか、ちょっと興味ありますね。修道女が飛んだんですかね?
 クリスチャン・ウルティック著の『シスター』という本によれば、この「翼」、登場するのは1750年だったそうで、それまでは違う服装だったわけですね。だからどうした、と言われても困るんですが、それだけ。

 第二ヴァチカン公会議の後、修道服はどんどん変化して、最近は修道服を着なかったり、簡素な修道服になったりしていますが、その変革期をかすかに背景に入れて書かれたコメディータッチのミステリ『クローゼットの中の修道女』というのを昔々読んだことを思い出しました。確か、ベネディクト会のシスターが主人公でしたが、脇役として、ネイティブ・アメリカン出身のシスターが登場していたのが、印象的でした。

クローゼットの中の修道女 (集英社文庫)

クローゼットの中の修道女 (集英社文庫)

 いわゆるアメリカ・インディアン出身のシスターが普通の小説に出てくるのはかなり珍しいと思います。そういう意味で、覚えているミステリ。

 かつて、大学院の授業の一環で、サウス・ダコタ州にあるラコタ・スー(インディアン)の居留区に出かけて一週間泊まった時の体験が私にとって強烈で、いわゆるアメリカインディアンへのキリスト教宣教の問題がずっと心にひっかかっています。まだ、この問題を整理して書けるような段階ではないので、これ以上、書かないですけど。

 アメリカインディアンとキリスト教の問題に触れた河合隼雄氏の『ナバホへの旅』は、日本人のキリスト教徒も読むと参考になると思いました。多神教的な文化背景を持っていて一神教を信じるとは?、果たして本当にそういうことができるのか?、どれはどういうことなのか?、といった問題を考える際に。

ナバホへの旅 たましいの風景

ナバホへの旅 たましいの風景

 河合さんがお書きになった『ナバホ…』の姉妹本のような『ケルト巡り』も、また違った角度から、これと似たような問題をちょっと扱っておられました。こういうユング心理学的視点からこういう問題を論じられると、また視界が広がる感じがします。
 惜しむらくは、どちらも突込みが足りない点。一般向けの本だし、こういった大問題を扱うのだから、仕方ないとは思うのですけど。ま、こういうことは人に考えてもらうのではなくて、やはり、自分で考えないといけないということですね、要は。 
 
 

ケルト巡り

ケルト巡り

 
 はるる